Trick and Treat.【USSS】 (ページ22)

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会場ページ22

Side:A

パーティー会場であろう屋敷についた。
木はまるで絵みたいに枝がくるくるしていて、夜なのに空は黒ではなく深い赤色だ。

安っぽいホラー映画みたいな要素ばっかり。

しかしもちろん、ここにあるものは全て本物。どんなに安っぽい要素があろうとも、本物で、空気はどんよりとしていて、恐怖が煽られる。

「……本当にここですか？」

「？あたりまえやんか、ここやで。ほら、足止めんなや、行くで」

「ひぃ……」

坂田さんの腕に巻かれた私の手は、依然取れる様子もなく、そのまま屋敷の前へ。

重厚な扉。いかにも重そうだ。

「じゃ、約束は守ってな、行くで」

「……押忍……」

坂田さんが扉に軽く触れた。
すると、ギギ、という音がして扉が開いた。

こんなに重そうなのに。これも、魔法かな。

扉が開いた先には、大きな階段と、扉が6つ。

外から見た屋敷よりも、あきらかに広い。
しかもこの広間だけで、見た目以上なので、この扉の先にあるであろう部屋も合わせると、あきらかに見た目とは合わない。

坂田さんがそれに対して驚いている様子はなかった。
もうすでに来たことがあるからか、それともこれが普通なのかはわからないが……。

そういえば私が乗っている船も見た目より中、広いもんな。……そういうものなのかもしれない。

「ほら、お嬢」

「え？」

驚いた。
まず一つは、坂田さんから“お嬢”と呼ばれた事実。ヤクザか？
そしてもう一つは、もうすでに階段を登りきっていたということ。

前者はともかく、後者は例によって、魔法だろうか。
疲れも違和感もなく登らせたのは間違いなく魔法なんだろうけど……、

……そろそろこういうのも慣れたほうがいいのかもしれない。

「お姫様って？」

「ニンゲンってバレたら面倒やんか。じゃ、覚悟決まった？行くで」

「覚悟……？」そう聞こうとした時、もう私の声は出ないようになっていた。

これ、ズルいな。

坂田さんに連れられるようにして、アーチ型の入り口をくぐった。

その向こう側は、なんとも華やかな空間だった。
豪華なシャンデリアに、大きなステンドグラス。
長いテーブルの上には、たくさんの料理と、それを囲むようにいるたくさんの人々。

想像していたようなパーティと同じだ。
想像していたパーティ、というと、まぁアニメなんだけど。