Trick and Treat.【USSS】 (ページ2)

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つかれたページ2

Side:A

玄関を出て、軽く身震いをする。

10月……いや、もうすぐ11月になるのか。
そりゃ寒いか。
上着、持ってくればよかったな。

わざわざそのために家に戻る気にはなれないけど。

仕方がないので、ポケットに手を突っ込み、なんとか耐える。

夜ご飯、どうしようかな。さっぱりしたものの気分だけど。

………いいかな、食べなくても。気分じゃない。適当に夜中まで時間つぶして帰ろう。

ふと、路地裏に目が行った。

なんとなく、行ったことなかったな。
夜は暗いし、朝はだいたい急いでるしで、結局今まで通ったことはなかった。

一応道をスマホで確認すると、大通りまで続いているようだ。

探検してみようかな。暇だし。

そうして私は暗闇の中に足を踏み入れた。

✳

路地裏は、街灯がなかった。

だからといって真っ暗闇というわけではなく、道はうっすらと目視できるほどの明るさだ。

「……月って、こんなに明るかったんだ。」

昔の人が月明かりを頼りにして、っていうのもなるほど、と思えるほどの明るさ。

太陽よりも眩しくないし、日差しで暑くなるわけでもない。
もういっそのこと、太陽と月が反対だったら過ごしやすいのかも。

……いや、それはただ12時間がズレるだけかも、なんてのんびりとバカなことを考える。

そうして、少し肌寒いなか路地裏に一歩、また一歩と歩をすすめる。

進むにつれて、だんだんと空気が冷たくなっていくような気がした。