Trick and Treat.【USSS】 (ページ1)

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もうやだページ1

Side:A

今日はハロウィン。
バイト帰りの私は、はしゃいでいる子供を横目に、帰路についていた。

ふと、空を見上げた。

空には、満月が爛々と輝いている。

ハロウィンの日に満月になる確率は、クリスマスに雪が降る確率より低いらしい。
そういう記事を、立ち読みした雑誌に書いてあったことを思い出す。

チカチカと、電灯の光が点滅を繰り返していた。

いくつかの電信柱の横を通り過ぎる。

家に着き、思うのはいつもと同じ“帰りたくない”という気持ち。

しかし、帰らないわけには行かないので、一度深呼吸をして、家に入る。

「……ただいまー」

いつも通り、返事はない。

リビングに行くと、両親と妹がご飯を食べていた。

「今日の夜ご飯、何？」

そう聞くが、やはり返事はない。
妹はお母さんに“なんで？”という目を向けている。
……こっちが聞きたいよ。

母も父も、こちらには目もくれず、もくもくとご飯を食べている。

私のご飯は、テーブルに置いてあるだけ。
けれど、もうきっと冷めきっているんだろうな。

鞄を椅子にかけ、私も食事に一口手を付ける。
……硬い。

そんな、雰囲気最悪のリビング。妹が、誤魔化すように母に話しかけた。

「ねぇ、お母さん、あのね、今日、テストで100点とったんだ！」

「……あら、本当？偉いじゃない、明日は好きな夕飯にしてあげようかしら」

「ほんとう？！えーっとね、……うーん。
……じゃ、じゃあ、Aお姉ちゃんがすきなものがいい、な」

こちらをチラチラと見る妹に、怪訝な顔でこちらを見る母。
頭をよぎる嫌な予感。

「……ううん、あなたの好きなものでいいのよ。
お姉ちゃんはお腹が空いていないようだから。」

鋭い目を私に向けて、そう言いながら、母は立ち上がる。
そして、置いてあった私の皿をキッチンまで持っていき、ゴミ箱に捨てた。

明日の夕飯のことを聞いているのに、おかしなことをする、この人は。

……あぁ、妹が余計なことを言わなければ、私もご飯が食べれたのにな。

妹のせいなんだよ、だからそんな憐(あわ)れむような目、むけないで

「……私、外でご飯食べてくるね」

鞄を肩にかけ直して、家を出た。
あぁ、やっぱり家は、息が詰まりそう。