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「てごにゃん?!ちょっと!!離してよ!!」
「残念ながら離せないなぁー」
手越さんはキラッと爽やかに笑うものの、腕を掴む力は緩めない。
「A?」
追いついた看護師さんは、ピリピリするほどの怒りを含ませて目の前の女子の名を呼んだ。
「まっ、まっすー?ほら、男の子もいるし。
落ち着こ?1回、ね?ほら、深呼吸、深呼吸っ。」
かなりテンパっているのか、彼女の声は上擦っている。
「ったく、早く病室に戻って、逃げ出した処置をするぞ。
それに、勝手に病棟を抜け出そうとしたことについて、じっくり話をしないとな。」
「てごにゃんー!!」
「ん?処置がんばってねー。」
手越さんに助けを求めるも、満面の笑みでエールを送られた彼女は、抵抗虚しく看護師さんに連れられていった。
「相変わらずやんちゃだねー。
まっすー、いっつも頭を悩ませてんの。
まぁ、そんなところも可愛いんだけどね。」
二人が消えていった方を眺めながら、手越さんがそんなことを言う。
「あの、今の人って。」
「そう、成亮くんの同級生になるAと、看護師のまっすーこと増田さん。
増田さんは、後で顔を出しに来るんじゃないかな?
成亮くんの、サブの担当だから。」
同級生と、サブの担当の看護師さんか…
同級生はキャイキャイしてそうな感じで、俺をイジメてたヤツらと同じ部類に見えるし、看護師さんはかなり怖そうだ。
これからの入院生活、いったいどうなるんだろう?
肩を落として不安いっぱいになった俺に気づいたのか、勇気づけるかのように手越さんの手が肩に置かれた。
「まぁまぁ。
Aちゃんも、やんちゃだけどすごく良い子だし、まっすーもよっぽどのことしなきゃあそこまで怒らないよ。」
「あの、よっぽどのことって?」
「今回は、処置逃げ出したらしいね。
あと、この前院外にまで出た時はガチギレだったよ。」
おい、無駄に不安になっただろうが。
もう行ってしまった彼女に、心の中で怒りをぶつけた。
「他にも不安なこととかいっぱいあるだろうけど、何かあったらすぐ相談して。」
「ありがとうございます。」
入院する時に頼んだ通り、部屋は個室だった。
「じゃあ、俺は一旦ナースステーションに戻るね。
何かあったら、そこのナースコール押して。
たぶんあと60分くらいで小山先生が回診にくるから。」
一人になった俺は、とりあえず荷物の整理を始めた。
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ゆきりょん - 続きが気になります!無理のないよう更新頑張ってください (2020年5月16日 17時) (レス) id: 8d4c6e936a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作成日時:2020年5月5日 18時