1 ページ2
ー
『ただいま…』
返事はない。当たり前だ、一人暮らしなんだから。
少しヒールのあるパンプスを脱ぐと開放された指先は感覚が少し鈍い。玄関からリビングに続く廊下にカバン、ジャケット色々落としながら進む。
『あぁあ…つかれた』
時刻は深夜２時半。ブラック企業に務める私の帰宅時間は毎日このくらい。私の心はもう
就職難のこのご時世、自分のやりたい仕事につけて死に物狂いで頑張ってきたけれどもうなにも楽しくない。
『風呂…、着替え…』
やらなくちゃいけないことは沢山あるのに、その気力と体力が無い。もう26なのに恋愛話のひとつも無いし親からの催促にもうんざりだ。
『(もう、朝やればいいや)』
そのままソファで眠りについたーーーーー
『…ん、ぁ？？や、ヤバい寝坊した！！！！』
ガバッと飛び上がった時刻は朝7時45分。終わった…完全に遅刻決定だ。これはハゲたクソ上司の説教を聞かなくてはならないぞ…
急いで準備していつもより2本遅い電車を待つ。通勤ラッシュのこの時間の駅はどこもかしこも混みあっている。
『(早く電車来い…)』
｢…ーー、ッ、ー｣
『(ん？)』
私が待つホームのすぐ側にある自動販売機。その影からまぁまぁデカい声が聞こえる。
｢…ｵﾄｽッ、ｵﾄｽッ｣
『…？！』
見てはいけないものを見てしまった気がする。気持ちの悪い化け物みたいなの。
自動販売機の隅でこちらを見て笑っていた。
すぐに視線を逸らし電車を待つ。
｢間も無く3番線にーーーーー｣
｢ﾋﾋｯﾋﾋｯ、ｵﾄｽ｣
声が、近くなる
｢危ないですので、黄色い線の内側にーーー｣
｢ｱ､ｱ､ｱ､ｲﾏ､ｲﾏ｣
『ッ？！』
背中に触れる感覚。もう、この後どうなるかなんて想像がついた。
ﾊﾟｧｰｰｰｰｰｰッ
電車がホームに入ってくる音と、
｢きゃぁぁぁあ？！｣
｢おい！人が落ちたぞ！！！｣
周りの人の叫び声、それと
｢ﾋﾋｯﾋﾋｯ、ｵﾁﾀ､ｵﾁﾀｧ｣
喜ぶ化け物の姿を最後に、私はこの世から去った。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1043人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
垢なし - 12 反転術式を他人に使えるのは乙骨先輩と家入しょうこパイセンだから2人だと思います！。…細くてすいません！。 (2021年4月12日 18時) (
レス) id: 5f562d56d2 (このIDを非表示/違反報告)
(･(ｪ)･)くま(プロフ) - 雪音さん» お返事遅くなりすみません！コメント有難うございます！嬉しいです…頑張ります＾＾ (2021年3月15日 3時) (レス) id: 62256bae98 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 続編楽しみです。主人公ちゃん好きです♪ (2021年3月11日 13時) (レス) id: 54fed18210 (このIDを非表示/違反報告)
(･(ｪ)･)くま(プロフ) - 奏さん» ご指摘ありがとうございます！！訂正させて頂きました！ (2021年3月10日 21時) (レス) id: fe15d3a2a3 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 17話の次が19話になってますよー (2021年3月10日 21時) (レス) id: 9ee6899c37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：(･(ｪ)･)くま | 作成日時：2021年3月9日 0時
