もしものはなし (ページ28)

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悲しませちゃったはなし④ ページ28

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(小島)

正門「でさー、困ってるんよな。」

みんなで集まるお昼休みの前。
いつも通りまっさんと場所取りがてら食堂で過ごす。

そんな時にまっさんに相談された。

それは最近同じ授業になった後輩の女の子がしつこいってこと。
まっさんは優しいからなぁ。
どうせ優しく諭してるんやろう。

小島「それちゃんと言ってるん？彼女いるんで、とか。」

正門「言ってんで？言ってんねんけど、めっちゃ無視されんねん。」

声かけられても大抵の子は、ちゃんと断ったら諦めてくれる。
難しいな。

小島「ちゃんと厳しく言った方がいいで。
まっさんもわかってると思うけど、A泣き虫やん？
好意を寄せて声をかけてるって気付いたら傷つくで。」

正門「そうやんな。
これからどうしようかなぁ。最近月曜日が憂鬱やわ。」

小島「Aに言っといたら？
そしたらなんかあった時も、まっさんも困ってる子やって気付いてくれるやん。」

正門「たしかにそうやな。」

やっぱり言うわ！と答えたまっさん。
変な心配かけたくないのは分かるけど、言うべきやと思う。

そして次の月曜日が来た。

いつも通りAと学校へ向かう。

「めっちゃダルい、帰りたい。」

『今日の食堂のランチ、唐揚げらしいで。』

「やば、元気出てきた。」

『単純やん。笑』

唐揚げはテンションあがんなぁ。

Aと同じ建物で授業があるから、そのまま一緒に向かう。
すると、音楽科の前にいる男女。
あ、まっさんや。

「あれ？まっさんちゃう？」

『あ、ほんまや。』

よく見ると、まっさんと女の子が楽しそうに話してる。
これ見られたらヤバいかも。
あいつ、後で事情聴取やな。

「A、コンビニ寄って行こ！」

『え、いいけどどうしたん？』

Aの視界に映らないように、前に立ちながらまっさんを見る。
すると、手を握られたまっさん。
は？ふざけんな。

「やっぱちょっと行ってくる。」

『え、待って！』

Aの声も無視して、怒りのまままっさんのところへ向かう。

「まっさん、なにやってんの。」

俺が歩いてる間に二人は手を離していた。

正門「話聞いて。」

Aを見る前にチラッと俺の顔を見た。
そこで確信した、Aに言ってないこともちゃんと断れてないことも。

『大丈夫、別に。』

Aの今まで聞いたことのない覇気のない声。

そのまま授業に向かって行った。
立ち尽くしたままのまっさん。

小島「早よ行き。多分A泣いてんで。」

正門「そうやんな、行ってくるわ。」

走って行ったまっさん。

さて、この女をどうするか。
俺は、目の前の女を睨みつけた。

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