もしものはなし (ページ27)

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悲しませちゃったはなし③ ページ27

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「そんなん全く考えてない。
ごめん、そんなこと思わせて。」

よしくんの真剣な顔に目が離せなくなる。

「さっきのごめんは、女の子に手握られてごめんって言いたかってん。
Aのこと話してたら油断してた。」

『わたしのこと？』

「うん。諦めるために彼女の好きなとこ聞かせてくださいって言われて。
話してたらAと会いたいなって考えててんな？
そしたらメンタルやられるんでもうやめてくださいって手握られた。」

嘘ついてるように見えへん。
それによしくんは嘘は付かへんって思ってる。

『それはほんま？』

「うん、嘘なんて付かへん。」

『でもめっちゃ楽しそうにしてた、、』

そういえば思い出した。
よしくんの楽しそうな顔。

「それ手握られる直前やろ？」

『そういえばそうやったかも、』

ふと思い出す、2人の光景。
楽しそうに話した後、女の子がよしくんの手を握ってた。

「さっき言った通りAのこと話してたら会いたくなってきて、、
油断して、手握られてしまってん。」

ほんまごめんな？って付け加えられた言葉。

『許さん。』

ほんまはもう許してるけど。
でも、傷ついたのは気づいてほしい。
だって自分のこと諦めさせるためにわたしの話したってことやろ？
じゃあ今までもしつこく話しかけられてるわけやん。

「そうやんな。
でも知っててほしいのは、A以外好きになるわけないってこと。
めっちゃ大好きやねんで、Aのこと。」

こうやって言ってほしい言葉を言ってくれる。
それに普段の行動でわたしのこと大事にしてくれてるのは分かってる。

『でもしつこく声かけられてるってこと話してくれへんかった。
言っといてくれたら、あの場面見てもこんな悲しくならんかったかもしれんもん。
付きまとわれてるんやな、って流せたかもしれんのに。』

とうとう泣いてしまった。泣きたくないのに。
そんなわたしの涙を拭いてくれる。

「そうやんな。ちゃんと話しとかなあかんかったな。
こんなしつこいと思ってなかってん。
気をつけるな、ごめんな。」

こうやってわたしのこと全部肯定して謝ってくれる。

『ごめん、わたしも泣いちゃって。』

「ううん、俺が悪いから。
今後は気をつけるので今回は許してほしいです。」

わたしの顔を覗き込んで、様子を伺ってくる。
かっこいい、ってこんな時にも思えるんやもんな。

思わず抱きついてしまった。

『次、女の子に触られたら許さん。』

「絶対触られへんから大丈夫。」

よしくんもぎゅっと抱き締めてくれた。

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