贖罪 ページ5
ルク様から
離れて
少しだけ寂しさを感じた。
多分、彼のことが好きだからだ。
彼もそれに気がついてて…ウルド様と同じだ。
私の気持ちを利用してこの場に引き留めようと
している。悲しさよりも逆に安堵した。
殺されなくてすむことより、たとえこの気持ちが
成就しないと分かっていても、この場にいること
を許されているようで安心したのだ。
けれど、それは終わらせなくてはいけない。
もし、この『気持ち』が間違っていないなら
私は恋を切り捨てて進むべきなのだ。
そう、それが桜明のするべき贖罪だから。
「…Aか、なにか用があるのか？」
ウルド様が玉座に座っている。
初めて彼と会った時は彼は私の隣にいたけど…
何も変わらない。
美しい容姿も、高い背丈も、冷たい声も
きっと目に見えないものだって彼は変わって
いない。これは私の思い違いかもしれないけれど
彼はきっと自分よりしたの吸血鬼(家族)を
支えるために、吸血鬼の頂点に立っている。
リーグやシカ・マドゥのように見捨てずに
最後まで…。
私は変わった。
顔はニキビあれが酷いし、背丈は伸びた。
声は昔のように甲高い声は出せない。
見えないものだって変わった。
私はこの『気持ち』を持ってしまった。
人間を愛して愛して愛して愛して愛して愛して！！
人間に試練を与えて成長を見る恍惚をこの呪われた
身体は知っている。
百夜優一郎の首を引きちぎった時、これに興奮
を覚えたことをひどく懐かしいと感じた。
呪いの翼を使ってみたい。
この身がどうなろうと知りたい狂った探究心。
だから……
「ウルド様、私は維弦を倒します。」
「……。」
「維弦を殺して、この世界からイレギュラーな
存在を消します。それが、私達、桜明の贖罪。」
「…血は要らないな。」
「はい。」
それだけ言ってウルド様は目を閉じ、下がれと手で
合図した。それだけだ。でも、それだけで
私は十分だ。
最後に好きな吸血鬼の腕で泣けて
初恋の吸血鬼に会えたのだから。
罪を重ね、呪われた一族の末裔にしては
幸せすぎる最後だ。
コートを手に取る。
長い髪を短く雑に切り、母から受け継いだ
髪飾りを空に投げた。
ここから行くのは新天地
神と天使とアダムとイブ
これらを私の全財産を使って相手取る。
覚悟は決まった。
さぁ、世界を救おうか。
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卯月(プロフ) - オルタさん» まさかシリーズ当初からとは…すごく嬉しいです。本当に励みになります！コメントありがとうございます！ (2019年1月25日 23時) (
レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - ジントニックさん» ありがとうございます！これから更新頻度を戻していくので気が向いたらまた読んでくれれば嬉しいです。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - 友達だいずぃ！さん» 本当に更新が遅れて申し訳ありませんでした。こんな駄作ですがこれからもだいずぃさんが楽しみにしてくれるようなものが書ければと思っています。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
オルタ - シリーズ開始当初から読ませていただいてます。また更新再開されたようで嬉しいです(^-^) (2019年1月6日 20時) (レス) id: 045ee9b78b (このIDを非表示/違反報告)
ジントニック(プロフ) - 卯月さん» 私も キ・ルク大好きなので！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年12月29日 18時) (レス) id: 8980de1b41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年7月12日 20時
