揺りかごの時間3 ページ4
髪をいじるのに
飽きたルクは
Aの背中に手を回して
先程より強く抱きしめた。
(…人を好きになることなんてない。けど、俺が
人間だったら此奴とそういう関係になっていたかも
しれないな…。)
気まぐれでそのような行為をしていると自覚
しながらルクはAを離さなかった。
そして、Aもそれを理解していた。
そして心底自分は桜明でありながらも心の拠り所
がなければ生きていけないのだと痛感した。
それがイブの血を多く含む人間の性だとしても、
決められた性質だとしても、Aは今この瞬間
がたまらなく愛おしく、辛いものだと感じた。
しかし、忘れてはならない。
こんな時間こそが揺りかごの時間の終焉には
相応しいと。
『あーあ…僕のイブが下等生物に取られるなんて
最悪だよ。…シカ・マドゥの直属の息子でも
容赦なく殺そすよ？』
「っ！？」
ばっとAは後ろを向いた。
そこには誰もいなくて、ただただ寂れた廊下が
続くだけ。ルクはそんな彼女の様子を怪訝そうに
見つめ言った。
「何かいるのか？」
「……多分、気のせいです。」
(気のせいじゃないだろ。手が震えてる。)
以前、目で見えない何かを大阪湾でAと
一緒に感じたが、今回、自分は何も気付かず
彼女だけが酷く、以前の時より怯えている。
「…お前はウルド様のところに行け。」
「っ…はい。」
ひとりにしないでと訴えかけると思ったが
Aはルクの腕の中から出ていった。
顔は青ざめて、震える手を片方の手で抑え
振り返った。
「ルク様はどうするですか？」
「女王を見てくる。…今お前が何か感じているな
ら俺よりウルド様の方が安全だ。早く行けばい
い。」
「……ありがとうございます。」
Aはそう言って去っていった。
ルクは溜息をつき、これから起きる何かに対して
楽しみ以外の何かを見出していた。
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卯月(プロフ) - オルタさん» まさかシリーズ当初からとは…すごく嬉しいです。本当に励みになります！コメントありがとうございます！ (2019年1月25日 23時) (
レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - ジントニックさん» ありがとうございます！これから更新頻度を戻していくので気が向いたらまた読んでくれれば嬉しいです。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - 友達だいずぃ！さん» 本当に更新が遅れて申し訳ありませんでした。こんな駄作ですがこれからもだいずぃさんが楽しみにしてくれるようなものが書ければと思っています。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
オルタ - シリーズ開始当初から読ませていただいてます。また更新再開されたようで嬉しいです(^-^) (2019年1月6日 20時) (レス) id: 045ee9b78b (このIDを非表示/違反報告)
ジントニック(プロフ) - 卯月さん» 私も キ・ルク大好きなので！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年12月29日 18時) (レス) id: 8980de1b41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年7月12日 20時
