揺りかごの時間2 ページ3
人間は脆い
人間は醜い
人間は美しい
気が遠くなるほど長い年月を生きて
何度そう思ったことか。
彼女はどの部類だろうか？初めて会った時
そう思った。桜明家、柊家に使えたのち百夜教に
駆られ、もう彼女しか残っていない吸血鬼と人間の
間をさまよう者。そんな彼女はどのような人間なの
か、吸血鬼にどれほど従順なのか、狂人なのか
興味があった。
けれど今自分の腕の中で静かに涙を流し
自分の袖口を握っている人間は到底、狂人では
なく、だからといって人間らしくなかった。
初めて彼女が弱みを見せたかもしれない。
それはそうかもしれない。
吸血鬼に囲まれ育ち、誰一人として理解者もなく
吸血鬼に従い、人間を殺す武器を作り、
ただ毎日一人寂しくいたはずだ。
人間は誰かと寄り添わなければ、依存しなければ
自我を保つのは難しい。この厳しい世界なら
馴れ合いというのは大事なものだ。
そんなものに無縁の彼女はそれを欲したはずだ。
人間らしく生きるために。
その相手がたとえ吸血鬼でも彼女は良かったのだ。
だから、今彼女は人間の捕食者の中でも
平気でいられる。
今殺されてもいいと言っているように。
彼女は安堵の表情をして自分を見上げた。
彼女の首に人差し指と中指を当てる。
今からでも一瞬で細く白い首を切って殺せる。
なのに…
「なぜ抵抗しない。」
「抵抗しても無駄ですし。それにもう…。」
本音…ではないと思った。
立場も何も考えずに自分は指をAの髪に
絡め始めた。ペットの毛を弄るようになんとなく
で触ってみた。やはり彼女は抵抗しなかった。
きっとさっきの発言は弱音を吐きたかっただけ
だろう。もう、疲れたのだろう。
そんなことを考えるとなんとなく今から血を
吸おうという気は失せた。
今度血を吸う時はもっと活きがいい時に
やってやろうと思った。
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卯月(プロフ) - オルタさん» まさかシリーズ当初からとは…すごく嬉しいです。本当に励みになります！コメントありがとうございます！ (2019年1月25日 23時) (
レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - ジントニックさん» ありがとうございます！これから更新頻度を戻していくので気が向いたらまた読んでくれれば嬉しいです。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - 友達だいずぃ！さん» 本当に更新が遅れて申し訳ありませんでした。こんな駄作ですがこれからもだいずぃさんが楽しみにしてくれるようなものが書ければと思っています。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
オルタ - シリーズ開始当初から読ませていただいてます。また更新再開されたようで嬉しいです(^-^) (2019年1月6日 20時) (レス) id: 045ee9b78b (このIDを非表示/違反報告)
ジントニック(プロフ) - 卯月さん» 私も キ・ルク大好きなので！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年12月29日 18時) (レス) id: 8980de1b41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年7月12日 20時
