罪と善意3 ページ14
切りかかろうとした
身体中に魔力を回す
それこそ、身体が引きちぎれる
ほどの勢いで、このまま終わってもいいというぐら
い
具現化させた刀で暮人を貫いた。
だが、暮人に出血はない
魔術と呪術の合わせ技で織り成した呪詛が暮人の
身体中に回る。それに四鎌童子は怪訝そうに呟い
た。
「取り憑いた霊を強制的に引き剥がす術式か…
桜明の秘奥のひとつ？それで何ができる。」
「これで十分だ。」
Aがそう言って微かに笑った瞬間、四鎌童子は
気づいた。僅かに、暮人の中で馴れ合いや仲間と
いった感情が芽生えたことを。
「…何をした？」
「冷酷な王様に優しくなってもらおうとちょっと
した注射だよ。」
(まあ、天使を引き剥がすほどの術式は無理だった
から第2希望ぐらいの効果…副作用として作った
んだけどね。)
抜いた刀は消滅し、Aは後退する。
『意図的に人の精神、感情を変える。』
これも桜明の秘奥のひとつ
「荒治療だけど、許してね。」
暮人がAを睨みつけるように見た。
「これであれを止められると？」
「そうは思いません。けど、何もしないよりマシ
でしょう？」
「そうか、お前はいいのか、あの蛇は。」
玉座の傍で白い蛇は一連の流れを見ていた。
それをAはなんともないようにこう言った。
「今切ったところであれは本物ではない
幻術でもなければ、実物としてもここにはいない
あれはアダムとイヴを貶めた蛇という概念でしか
ない。」
そう言うと蛇は苦しみながら消滅した。
暮人は興味深そうにAを見つめる。
「なら、お前の本命はただの幻想か？」
「あの蛇はアダムとイヴを嵌めたという逸話
だけで、人に語り継がれてきた存在。
体が滅びようと、その全世界共通の知名度さえ
あればそれを魔術の応用でいくらでも現世に意識
だけを留められる。ある意味、貴方に取り憑いた
やつよりタチ悪いですよ。」
そう言って後ろを向き、暮人に背中を無防備に
見せた。
「まぁ、そんな訳ですからこれから宜しく
お願いしますね。柊暮人様。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卯月(プロフ) - オルタさん» まさかシリーズ当初からとは…すごく嬉しいです。本当に励みになります！コメントありがとうございます！ (2019年1月25日 23時) (
レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - ジントニックさん» ありがとうございます！これから更新頻度を戻していくので気が向いたらまた読んでくれれば嬉しいです。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - 友達だいずぃ！さん» 本当に更新が遅れて申し訳ありませんでした。こんな駄作ですがこれからもだいずぃさんが楽しみにしてくれるようなものが書ければと思っています。 (2019年1月25日 23時) (レス) id: b01d639ce5 (このIDを非表示/違反報告)
オルタ - シリーズ開始当初から読ませていただいてます。また更新再開されたようで嬉しいです(^-^) (2019年1月6日 20時) (レス) id: 045ee9b78b (このIDを非表示/違反報告)
ジントニック(プロフ) - 卯月さん» 私も キ・ルク大好きなので！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年12月29日 18時) (レス) id: 8980de1b41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：卯月 | 作成日時：2018年7月12日 20時
