※移行※契約彼氏。 Part.7【名前変換】

■契約その317 ページ17

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お母さん、頼まれると断れない性格だもんなぁ。



このまま自力で家に帰ろうとしたけれど
痛む足首にそれを断念せざるを得なくて


校舎のフェンスにもたれかかりながら
お母さんの車を待っていると



それよりもさきにキキーッという音ともに
目の間で何かが停まって




見上げると裕翔先輩だった。






裕翔「お母さんが迎えにくるんだったよね?」





「そうだったんですけど
　急に残業お願いされて
　迎えに来るのもう少し遅れるみたいで。」







スマホの画面を見せながら
ダメ元でお父さんにお迎えをお願いしようとしたら



その手がぎゅっと包まれた。









裕翔「大した用事ないから送っていくよ。
　 一時間待つのも大変でしょ。」






「でも……」




裕翔「何かあったら頼ってって言ったでしょ。」








ふわっと宙に浮いた体は
自転車の後ろの乗せられた。









裕翔「二人乗り駄目だけど……
　 捻挫してるし警察も先生も許してくれるよね。」








落ちないようにちゃんと捕まってね。


その言葉とともに自転車は走り出して
少し躊躇いながらも裕翔先輩の肩にぎゅっと捕まる。









裕翔「Aちゃんの家、こっちだったよね。」

「はい、そうです。本当に……いいんですか?」






裕翔「いいよ、大した用事はなかったし。
　 帰ったらお母さんに連絡してね。
　 あ、でも二人乗りしたことは……ね?」







人差し指を唇に当てていたずらに笑う。









「二人の秘密ですね。」



裕翔「そう、二人だけの秘密。
　 誰にも言っちゃ駄目だからね?」







ちょうど横断歩道手前で止まり
裕翔先輩は私の口元にも人差し指を添えた。






「はい、ちゃんとお口閉じておきます。
　二人で職員室呼び出しされないようにしなくちゃ。」





裕翔「いい子、いい子。」








ふわっと頭に乗った大きな手はいつも
私に安心感を与えてくれる。



階段で転げ落ちた時に聞こえた怖い言葉を
その時だけ忘れられたような気がした。




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