◆77 ページ30
.
『……ありがとう、Aちゃん』
4回に渡るカーテンコールが終わって、
ほんまに幕が下りた後
隣のAちゃんに声をかけると
彼女は顔を手で覆って肩を震わせてた。
思わず、その身体を引き寄せて抱きしめたけど
周りからは温かな拍手が起きて、
その事にまた俺も涙腺が刺激されて。
『ありがとうな、ほんまに』
「……っありがとう、」
『ん……』
2人で何度もありがとうを言い合った、
まだ、鮮やかに残る記憶。
燃え尽き症候群て、こーゆうのを言うんかな。
ロミジュリロス。
そう言えば聞こえはええけど
それよりも、もう、
Aちゃんと会われへん
いや、会おうと思えば会えるんやろうけどさ。
ほぼ毎日、会ってたから。
稽古と本番、
何十回交わしたハグやキスが
まだ体のどこかに残ってるような気さえする。
………。
.
平「あ、起きた」
むくりと体を起こした俺に、
メンバーの視線が集まる。
心配してくれとることは、十分わかってた。
岸「おはよ、廉」
『……はよ、』
平「まだ時間あるよ？」
『や、起きるわ』
髪をぐしゃぐしゃと手で混ぜて
髪と同じように乱れた心に蓋をする。
仕事は、切り替えな。
この選択をしたんやったら尚更。
Aちゃんも楽の翌日から
次の作品の稽古や言うてたな。
頑張ってるんかな、、
また彼女の顔を頭に思い浮かべて、静かに首を横に振った。
キリない、こんなん。
高「………あんな記事気にする事ないのに」
平「海人」
ぼそっと呟いた海人の声は俺の耳にも届いたけど、
聞こえてへんフリをした。
神「廉が決める事なんだから」
平「海人はお子ちゃまだからわかんないんだよ」
高「もー！！年下扱いすんなっ！！」
いつもの騒めきが戻る控室。
体に馴染んだ空気感は心地いい。
岸「廉、大丈夫？いける？」
『……ん、ありがとう』
もう、ロミオは終わったんや。
いつもと一緒や、
映画やドラマのクランクアップと同じ。
仕事がひとつ終わった、
………それだけ、や。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1707人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れんりー(プロフ) - ゆうみさん、ありがとうございます。突然の発表からずっと心がざわついていますが、ゆうみさんの文章を読ませていただき救われました。これからの彼らを応援したいと思いました。解散ではなくグループ名を残してくれた廉君と海ちゃんに感謝しています。 (2022年11月7日 2時) (
レス) @page45 id: 05bb2b7288 (このIDを非表示/違反報告)
もももん(プロフ) - 書かれた内容がストンと入ってきました。私も去年11/1に解散したグループのことが長年好きで、心の整理がやっとついた頃にキンプリのことを好きになりました。“絶対”はないんだなってつくづく思い知らされます。メンバー5人の抱えていた苦悩を想像すると辛くて。。 (2022年11月6日 23時) (レス) @page45 id: 237dd1ff75 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃(プロフ) - 完結おめでとうございます。今日この作品を見つけて一気に読んじゃいました。素敵な作品ありがとうございました！ (2022年6月21日 2時) (レス) @page44 id: a83ef5ecab (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 完結おめでとうございます！！プライベートの方が大変な中、完結してくださり本当にありがとうございます！！ゆうみさんの作品大好きなのでこれからも応援してます！！ (2022年6月3日 9時) (レス) @page44 id: 8550425678 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 更新されないんですか…？寂しいです (2021年9月22日 22時) (レス) id: 5fbeaa9ef5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうみ
| 作成日時：2021年6月4日 19時
