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『大丈夫？』
そのまま休憩になって
顔を洗って戻ってきた彼女に声を掛けた。
少しだけ崩れたメイク
赤くなった目元
苦笑いのAちゃんが、俺の隣に腰を下ろす。
「ほんとごめんね……」
『ええって。びっくりしたけど』
「あーもうほんと泣きすぎた……」
『そんな気持ち入ってもうたん？』
俺が聞くと、Aちゃんは小さく頷いて。
「台詞にもあるけど、愛し合ってるだけなのにどうしてなんだろう？とかすごい思っちゃって」
『あー……そうよな』
今と違って、連絡手段もない時代。
引き裂かれて、それでまた会えるなんて保証もない
だからこそ、悲劇に繋がってまうわけやけど……
「ダメだね、もうちょっと冷静にならないと」
『ええんちゃうの、気持ち入るのは』
「うーん、でもさすがに台詞言えないのはマズいから」
それもそうか。
感情をありのままぶつけとったら、舞台が止まる。
ちゃんと段取りや動きは頭に入れとかなあかんしな。
……でも、そういうのは、
稽古の今やからこそ出来る事でもあって。
ロミオとしても、ジュリエットの前で泣く訳にはいかんけど
今は俺も、もっと解放してもええんかも……。
.
「じゃあ再開しますねー、もう1回"ひばり"から」
スタッフの声で、稽古に戻る。
もう一度、同じ場面。
愛するジュリエットと、引き裂かれる。
もしかしたら、もう二度と会われへんかもしれへん。
二人が愛することを許されたのは、
たった一夜限り。
こんなに愛し合ってんのに、
一緒におりたいのに、
別れの時が近付く。
まだ、涙に濡れるAちゃんの瞳が、俺の心を貫いていく。
『さよなら……、っもう一度だけ……』
最後の最後、そう台詞を言って
互いに腕を伸ばして、縋るようにキスを、……
.
その瞬間、自分でもびっくりするくらいに
ジュリエットに対する想いが、
体中から溢れるように湧き上がってきて。
『………ｯ、』
やばい、
そう思った時には遅かった。
愛する人と離れなければならない辛さ、
悔しさが、胸を抉って
気付いたら、涙が溢れてきた。
ほんまやったら、
ここでジュリエットの部屋を出なあかんのに。
キスのあと、ジュリエットを
Aちゃんを抱きしめて、離されへんかった。
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ゆうみ(プロフ) - ぽんさん» コメントありがとうございます(T-T)そう言って頂けて嬉しいです！今後のお話も楽しみにして頂けると嬉しいです(^-^) (2021年5月28日 22時) (
レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - ゆうみさんのお話は初めて読んだのですが、すごく素敵で、いつも更新されるたびにこれからの展開がとても楽しみになっています。これからの展開もとても楽しみです！頑張ってください!! (2021年5月27日 6時) (レス) id: e177d1fc6d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - あきこさん» あきこさん、コメントありがとうございます！とっても嬉しいです。そうやって言って頂くことが何より励みになります。 (2021年5月27日 0時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
あきこ - 久々に妄想の世界に浸っています。やはりゆうみさんの文章好きです！次の展開も楽しみにしています。頑張ってください！ (2021年5月26日 17時) (レス) id: a6652d343c (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - そらさん» コメント下さいましてありがとうございます。とっても嬉しいです｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡頑張りますね！ (2021年5月23日 21時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ
| 作成日時：2021年4月15日 23時
