愛を知る時〈深紅×漆黒〉２

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"それではまもなくエンディングでーす！"






しんとした楽屋に

オンエア画面のテレビから声が聞こえてくる。



楽屋の外も、バタバタと騒がしい。






同じ建物の中の出来事やのに

まるで世界が違うみたいやった。









時が止まったみたいに見つめ合った。




そうすれば、お互いの心が見透かせるかのように。








『……いやいや、』





紫耀が、また首を横に振る。







『だめ。ほんとだめ、廉』


「なにがよ、」


『ダメだって。お前は……俺は、お前の幸せ奪いたいわけじゃない』


「………」


『廉には幸せでいてほしいんだって。普通に恋愛して、かわいい奥さんもらって……』


「そんなん、望んでへん」


『何言って……』


「しょぉ、」


『流されんなって、』


「お前こそなんやねんさっきから。愛してるとか言うといて。腹括れや、男やろ！」







まくし立てれば、紫耀の黒い瞳に涙の膜が張る。




CMが明けたんか、

テレビから聞こえる声がまた騒がしくなった。









震える手を伸ばして、

そっと紫耀の頬に触れた。




いつか、俺にそうしてくれたように。





俺の想いが、

この手を通して伝われと願いながら



両手で、紫耀の小さな顔を包んだ。









「……俺のこと、すき？」






何度目かの問いに、

ずっと強張っていた紫耀の顔が小さく歪む。



頬を包む俺の手に、紫耀の手が重なった。







いつの間にか大人になった俺たち。




子どもみたいに顔を歪める紫耀が、

たまらなく愛おしかった。




信じてほしい。紫耀。









『好き……、廉が好き』


「どんくらい？」


『ずっと、……っ、一生、』


「……俺も、」


『ちゃんと、言って……』







鼻先が触れそうな距離に、紫耀の震えた声が重なる。




まだ不安が僅かに残るその目、


不満を含んだハスキーな声。





そうよな。



俺だってちゃんと言うよ。紫耀。








『なぁ、廉……』


「俺も、」









「紫耀を、……愛してる」








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まるで、吸い寄せられるかのように。






俺たちは、どちらからともなくキスをした。







初めて重なった唇は、

想像していたよりもずっとずっと甘やかで




そのくせ、

この瞬間がずっと続いてほしくて、

離れがたくて。







そんな想いが溢れてこぼれ落ちるような、

切ないキスやった。









止まらへんかった。
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