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テーブルの上にぽつんと置かれたバッグが目に入った。
財布も、スマホさえ置きっぱなし。
なんとなくわかってた。
ここ最近ふらっといなくなる紫耀が
どこに行ってるんか。
あいつの匂いが、変わったから。
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………やっぱり。
建物の外、自販機の横に作られた小さなスペースに
紫耀はぼんやりと座ってた。
手に、やめたはずのタバコを持って。
"体に悪いし、イメージ悪いし、
吸える場所も少ないし、良いことないから"って
デビューして一年も経たん頃
あっさり手放してた記憶がある。
それ以来、吸ってへんかったはずなんやけどな……
俺の気配に、紫耀はすぐ気付いたけど
ちらっとこっちを見ただけで、
火を消す事はしなくて
俺もぼんやりとしたまま、隣に座った。
いつもの紫耀とは違う、
独特のタバコの匂いがする。
「……俺、たばこ嫌い」
俺の言葉に
紫耀はふっと頬を緩めた。
『嫌ってくれるならもっと吸うわ』
自虐するみたいなその声に
思わず項垂れる。
もう、俺ら、元には戻られへんのかな。
未来のことなんて何も考えず
ただただ一緒におるのが楽しかった、あの頃とは言わんでも
"廉、お疲れ"
そう言って、優しく俺の頭を撫でてくれてた頃にさえも
戻られへんのかな。
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「……なぁ、」
『………』
「いつから、なん……」
抽象的な言い方やけど
それでも紫耀は"何が？"とは言わなかった。
代わりに、また煙を吐いて。
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『わかんない。でもずっと好きだった、廉のこと』
その一言は
想像よりずっと重くて、まっすぐやった。
そんな言葉を、こんな場所で、
こんなにあっけなく言ってきたこと。
伝えてほしかったのか、
やっぱり伝えてほしくなかったのか
もうわからんかった。
『言うつもりなかったんだけどね。セイタの登場が誤算すぎた』
「………」
『俺の方が廉のこと好きなのにとか、俺の方が廉のことわかってんのにとか思っちゃったの』
「………」
『ごめんね』
それは、まるで世間話をするかのようで。
だから、やっとの思いで顔を上げたのに。
口調とは裏腹に
ぼんやりと遠くを見つめるその顔を見たら、
俺の中の何かが、音を立てて崩れた。
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あい(プロフ) - こんにちは！二人の関係に目が離せません、（ ; ; ）次章も読ませていただきます！！！素敵なお話をありがとうございます♪ (2022年4月29日 13時) (
レス) @page46 id: 74fb46b4d8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます(;_;)次章に移行しましたのでぜひまた読んで下さいね！ (2021年1月11日 0時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
あい - こんにちは！続きが凄く気になります！！更新頑張ってください！！応援してます！！！ (2021年1月9日 8時) (レス) id: 42acba34ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 青苺さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いて嬉しい限りです、、！更新がマイペースで、いつ完結するのやらって感じですが、頑張って書いていきますのでぜひまた読んで下さいね。 (2020年12月11日 22時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - ななみさん» コメントありがとうございます！一気読み嬉しいです。更新がんばりますね！ (2020年12月11日 22時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ
| 作成日時：2020年10月24日 22時
