君の元へ〈紫〉２

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高「でも岸くんが彼女に対してあんなに甘々になる人とは知らなかったなぁ〜」


「……そ、かな」








僅かにこぼれた涙を誤魔化しながら、言葉を返す。









高「岸くんのあんな顔、見た事ないもん。デレッデレだった！」


「うそぉ、」


高「ホントホント！Aちゃんのこと大好きで仕方なーい！って感じ」







海人くんのストレートな表現に

咄嗟に返す言葉が見つからない。




デレッデレ……


嬉しいけど、なんか恥ずかしい……









「私も、優太くんがみんなと一緒のところ、初めて見たから」


高「あ、そっか」


「想像はしてたけど、すごいイジられてるっていうか」


高「あはは〜、そうだよね」


「……すごく、みんなから愛されてるんだなぁって」






それは、みんなの雰囲気でわかる。




ずーっとイジられてた優太くんだけど

少しも嫌そうじゃなくて



きっと、みんなへの信頼があるんだろうな、って





そしてメンバーみんなも




優太くんを、心から

人として大好きなんだろうなって。








高「うん。俺も岸くん大好き！」


「じゃあライバルだ〜」


高「あははっ、やばいね！修羅場修羅場！」








目尻を下げて笑う海人くんは

スキップするような軽快な足取りで、先を歩いて









高「いいな〜、俺もAちゃんみたいな大人のお姉さんの彼女欲し〜い」










"海人は年上キラーだし……"






優太くんの言ってたことを思い出して




その後ろ姿に、微笑みながら


また、こぼれそうになる涙を







そっと指で拭った。
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