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「……私こそ、ありがとう」
『ん、?』
「大切な人たちに会わせてくれて」
まっすぐ目を見て言えば
優太くんが、グッと何かを噛みしめたような顔をして。
『やべぇ、泣きそ……』
そう言って、空を見上げたから
私もまた、涙がこぼれそうになった。
『……もっかいだけ、いい?』
頷く代わり、目を閉じたのを合図に
また、ゆっくりと唇を重ね合わせた
寝ているとはいえ
部屋の向こうにメンバーのみんながいるのを思うと
それはなんだか、秘密のキスのようで
唇が離れる時には、私も優太くんも
どこか照れたように笑っていた。
もうそろそろ、戻らなきゃね
緑に囲まれた暗がりのベランダとはいえ
これを日常にしたら良くないもんね、
お互いのそんな気持ちも
視線を交わせば、わかって
ちゅ、
名残惜しむように、額に小さくキスを落とされた時
.
「………グスッ」
「『え?』」
2人で弾かれたように振り向けば
ベランダの扉
折り重なるように目を輝かせた、みんなの姿。
『おおおおおおお前ら何してんだよっ!!?』
平「あーもう海人が泣くから」
高「だってぇ……」
例によって、ジンくんの手にはスマホ……
『寝てたんじゃねーの?!』
平「いやーたまたま起きちゃってさぁ、これはみんなを起こさずにはいられなかったよね」
神「やーばい、撮れ高やばいよこれ」
永「おっ、チューも撮れた?」
神「ばっちり」
『おい消せ!!!!!』
優太くんが叫んで、
部屋に逃げ込むメンバーみんなを追い掛けていく。
今日は、甘い時間は過ごせそうにない、な。笑
それでも、心は穏やかで
額に残る温もりにそっと手を添えてから
私も部屋に戻った。
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莉帆(プロフ) - 前作の紫耀くんと彼女さんの設定そのままでメンバーに紹介した時の話等見てみたいです! (2020年10月31日 1時) (レス) id: f844b9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 初子さん» コメントありがとうございます!しょうれんを作り始めてしまいましたが笑、廉くんも必ず書きたいと思います(^^)新作もぜひお読み下さると嬉しいです。 (2020年10月24日 22時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
初子(プロフ) - はじめまして!前作に続きとても素敵でした!!次は廉くんでお願いします笑笑 (2020年10月23日 6時) (レス) id: e87bce962c (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - Azukiさん» コメントありがとうございます。コメントが一番嬉しいです(*´`*)マイペースな更新ですが楽しみにして下さってありがとうございます。楽しんで頂けて何よりです…♪ (2020年10月10日 1時) (レス) id: 5bc3e0045f (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 二度目のコメント失礼します!定期的に更新してくれて本当に嬉しくて。やっぱり楽しみなお話で通知が来てるとワクワクしちゃいます。ほっこり優しい気持ちになるので大好きです。これからも引き続き応援してます! (2020年10月3日 14時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年9月23日 0時