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***
急に顔を逸らした私を不思議に思ったか
優太くんが顔を覗き込んでくる。
『A?』
「……な、に?」
『いや、どうした?』
「何でも……」
『何でもなくないじゃん』
「も、寒いから入ろ、?」
誤魔化すように
慌ててその手を掴んだけど、
『あ、ちょっと待って』
呼び止められたと同時、繋いだ手を引かれて
気付けば、優太くんの腕の中に。
肌寒い空気の中
いつもの温もりに、心がホっとする。
『あ〜〜……』
溜め息をつくような噛みしめる声に
思わず小さく笑みがこぼれた。
「どーしたの……」
『ん、今日メンバーいるから出来なかったじゃん』
「そうだね」
私も、背中に腕を回せば
さっきよりもぎゅっと抱きしめられて
愛しさで心がいっぱいになる。
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『…………A、』
聞こえた声は
少しのためらいを含んでいて
いつもよりも低くて
「どうしたの?」
思わず、腕を解く
優太くんの顔に、緊張が見えた気がした。
「優太くん……?」
呼び掛ければ
優太くんは、咳払いをしてから。
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『あの、さ……あの、A、その……』
「………」
『指輪の、サイズ………教えてくんねぇかな』
「……えっ?」
何かと思えば
指輪……?
目を丸くした私に
優太くんは狼狽したように慌てて
『や、あの、正直今すぐとかは出来ねぇし、何年後とかそんなんもわかんねーし、約束も出来ねぇんだけど、』
「………」
『ただ……その、俺は、Aとずっと一緒にいたいし』
「………」
『将来の事も……いつかは、って思ってて』
「………」
『だから……あの、なんていうか、不安にさせる事も多いと思うから、」
「………」
『お守りじゃねぇけど、指輪買ってやりたいなって思ったんだけど……』
「………」
『ど、どーかな……』
何も、言えなかった
途中から、優太くんの言いたい事がわかってくると
さっきせき止めたはずの涙が
あっという間に堤防を超えて決壊して
『ちょっ、あぁぁぁ、泣くなよぉぉ………』
優太くんが袖口で、私の涙を拭って
それでも、涙は止まらなかった。
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莉帆(プロフ) - 前作の紫耀くんと彼女さんの設定そのままでメンバーに紹介した時の話等見てみたいです! (2020年10月31日 1時) (レス) id: f844b9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 初子さん» コメントありがとうございます!しょうれんを作り始めてしまいましたが笑、廉くんも必ず書きたいと思います(^^)新作もぜひお読み下さると嬉しいです。 (2020年10月24日 22時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
初子(プロフ) - はじめまして!前作に続きとても素敵でした!!次は廉くんでお願いします笑笑 (2020年10月23日 6時) (レス) id: e87bce962c (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - Azukiさん» コメントありがとうございます。コメントが一番嬉しいです(*´`*)マイペースな更新ですが楽しみにして下さってありがとうございます。楽しんで頂けて何よりです…♪ (2020年10月10日 1時) (レス) id: 5bc3e0045f (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 二度目のコメント失礼します!定期的に更新してくれて本当に嬉しくて。やっぱり楽しみなお話で通知が来てるとワクワクしちゃいます。ほっこり優しい気持ちになるので大好きです。これからも引き続き応援してます! (2020年10月3日 14時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年9月23日 0時