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『お疲れさま』
シャワーを終えたらしい、さっぱりした雰囲気の紫耀が
ケータリングルームにやってきた
少し疲れも見えるけど、
それ以上に、すごく満足そうな表情
「お疲れ様でした」
頭を下げると、楽しそうに笑ってくれて。
もう、おにぎりとか簡単なものしか置いてないけど
『これ何入ってる?』
「ツナです」
『これは?』
「梅」
『ねぇ、おにぎりいる人ー?』
楽屋の奥から、「いる〜〜!」と何人かの声が聞こえて
紫耀がお盆におにぎりを乗せていく。
『あ〜めっちゃ疲れたわ』
ちょうど、オーナーは部屋を離れていて
ケータリングルームにいるスタッフは、今は私だけ
だからか、紫耀も幾分ラフな口調
小さな声なら、廊下にまでは届かない
私も、少しだけ肩の力を抜いた
「……すごかった、よ」
『ん?』
「ちょっとだけ観させてもらったの」
『あ、観てくれたんだ。どうだった?』
「すごかった、ほんとに」
子どもみたいな、抽象的な感想だけど
それでも、紫耀は嬉しそうだった。
『またゆっくり感想聞かして?』
小さく頷いた時、
.
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「───平野、」
顔を覗かせたのは
ライブTシャツではなく、スーツを着た人で
『あれっ、今日来てたんすか』
紫耀は全然恐縮した様子もないけど
なんとなく、
本番を観てほしいとお願いしに来たマネージャーさんより
立場が上の人だと直感する
『何ですか?』
「ちょっといいか?」
『俺だけすか?』
「他は?」
『今から映像見るんですよ』
「あー……じゃあ、その後で全員に」
『? 了解っす』
おにぎりを抱えた紫耀とふたり、楽屋へと戻っていく
今日はメディアもたくさん来てたし
ドームともなると、
やっぱり事務所の上層部の人とかも来るんだろうなぁ……
「Aちゃんごめんね、お待たせー!片付けよっか」
「あ、はいっ」
映像見たりするなら、出るのも遅いんだろうな
明日も無事終わって、
それからかな、ゆっくり出来るのは……
その時は、ちゃんと準備して
おいしいもの作ってあげたいなぁ
無事に初日を乗り切れて、私もほっとしていた
───呑気に。
ドア一枚隔てた楽屋、
その向こうで起こることを
私は、知る由もなかった
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yamayama0509021(プロフ) - とても面白かったです!!!番外編というか、続きが見たいです、、事務所に怒られたりするとこや、メンバーに紹介したらなんかまたゆうみさんの描く作品を拝見させていただきたいです、、 (2021年1月9日 10時) (レス) id: f5163d79d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - ななみさん» コメント下さり有難うございます(^^)廉くんはただの良い人でした笑。他の作品もぜひ読んで頂けましたら嬉しいです! (2020年12月11日 22時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 素敵な作品を読ませいただきありがとうございました。廉君のアシストが絶妙でした。他の作品も是非読ませてください。 (2020年12月10日 3時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
莉帆(プロフ) - こちらこそほんとに嬉しいです!いつでも待ってます! (2020年9月14日 15時) (レス) id: f844b9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 莉帆さん» コメント頂きましてありがとうございます!嬉しいです(^^)番外編、良いですね!どこかでその後が書けたらとは思っていたので、検討させて頂きます。ありがとうございます(^^) (2020年9月14日 3時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年6月9日 20時