たったひとつ〈深紅〉 ３

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ぽかんとした表情を浮かべるみんなを見たら

言葉が詰まりそうになるけど






もう、逃げない




朝から何度も何度も思い浮かべた言葉を

もう一度、繰り返した










『……グループのことも大切だし、壊すつもりもない。なのにこんな事になって、ほんとに申し訳ないって思ってる。

大事な時にほんとにごめん。裏切ってごめん』



高「え、待って待って……」







海人が小さく割って入ってくるけど



ここで止めたらだめだ、






"大丈夫だよ、紫耀は"





お守りみたいな岸くんの言葉を

また思い出して



小さく息を吸った








『おれ、………』







何度考えても

どんだけ考えても






『どっちか選べとか言われても……無理なんだよ』





結局、これしか、答えは出なくて








『Aのことも、グループの事も……どっちも大切で、大好きだから……どっちも失いたくない』





わがままだってわかってる


めちゃくちゃなこと言ってるって、わかってる







でも、

周りが納得しなくても


俺自身が後悔しない道は、きっと



これだけ、だから









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『…………俺、頑張るから』


「……え？」




誰の声だったのか、

それすらもわかんないくらい必死だった








『もっともっと頑張って……日本中の人に、世界に認めてもらえるようなグループに絶対してみせる。ちゃんと結果残して……いろんな大人に文句言わせないくらいになる』



『それで、事務所にも、みんなにも……Aとの事、ちゃんと認めてもらいたい』



『何年かかるかわかんないし、どっちもなんて、すげー勝手なこと言ってるってわかってるけど……、

でも俺、めちゃくちゃ頑張るから……』







ぎゅっ、と目を瞑った











『お願いします。King&Princeでいさせて下さいっ……！！！』









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空調の音が聞こえるくらい

楽屋が静まり返ったのは、一瞬で










高「び…………っくりしたぁぁぁぁっ！！！」












海人の絶叫が、聞こえた








『へっ……』





顔を上げれば、みんながめちゃめちゃ疲れた顔で

一斉に溜め息をついてて





俺、変なこと言ったかな……？







高「しょお、辞めるって言い出すのかと思った！！」


『え……』


岸「いや俺もマジでビビったんだけど！ガチで！」


『え、何で岸くんがビビってんの……』






あんな良いこと言ってくれたの、岸くんじゃん……

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