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ドームのスタンド席に、腰を下ろす
視線の先には、俺らが立ってた大きなステージ
大勢のスタッフさんが
セットを組み直したり、点検をしたり
明日に向けての準備をして下さってる
ここに来る途中でも、何人かのスタッフさんが
「あれっ、まだいたの?」
「明日もよろしくね!」
って声を掛けてくれて
たった2日間のために
俺らのために
こんなにたくさんの人が動いてくれて
スタンドも、アリーナも
俺らを見るために来てくれた人たちで埋まる
照明が落ちた時の光景も
俺らが登場した時の歓声も
全部が、頭にこびりついてる
ほんとにすごかったな、今日……
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岸「ほいっ」
岸くんが、小さなお茶のペットボトルを投げてきて
俺の近くに腰を下ろした
さっき写真見せられた時も、何にも言わなかった岸くん
さすがに、呆れたよね
自分でもそうなんだもん……
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岸「……いや〜。やっぱ広いね?ドームは」
聞こえてきたのは
いつもと変わらない、明るい声
いっそ、怒鳴ってくれれば
何考えてんだよって叱りつけてくれればって思うのに
いつも自分は二の次で、一生懸命な岸くんに
今までだって、何回も助けられてきた
全然そんな風に見せないけど
俺らには見えないとこで、きっといろんなこと抱えてるはずで
苦しい想い、させたくなかったのに……
『……ごめんね、岸くん』
岸「ん?」
『迷惑かけて……』
岸くんは何も言わず
ただ、前を向いて
2人でしばらく
がら空きの客席と作業の続くステージを眺めた
広いドームでは、作業の音も遠くに感じるくらいで
まるで、世界が分かれてるみたいな感覚になる
デビューした時から、目標だった場所……
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岸「……俺はさ、正解ってないと思うんだよ」
優しい声が、聞こえた
まっすぐ前を見た岸くんが
やっぱりまっすぐな声で
岸「大切なものって、ひとつじゃないし。順位なんてつけらんないよね」
『………』
岸「彼女じゃないかもしんないけど……大切な子、なんでしょ?」
…………、
小さく、頷く
それだけで
押し込めてたものが、体中からどんどん溢れてくる
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yamayama0509021(プロフ) - とても面白かったです!!!番外編というか、続きが見たいです、、事務所に怒られたりするとこや、メンバーに紹介したらなんかまたゆうみさんの描く作品を拝見させていただきたいです、、 (2021年1月9日 10時) (レス) id: f5163d79d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - ななみさん» コメント下さり有難うございます(^^)廉くんはただの良い人でした笑。他の作品もぜひ読んで頂けましたら嬉しいです! (2020年12月11日 22時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 素敵な作品を読ませいただきありがとうございました。廉君のアシストが絶妙でした。他の作品も是非読ませてください。 (2020年12月10日 3時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
莉帆(プロフ) - こちらこそほんとに嬉しいです!いつでも待ってます! (2020年9月14日 15時) (レス) id: f844b9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 莉帆さん» コメント頂きましてありがとうございます!嬉しいです(^^)番外編、良いですね!どこかでその後が書けたらとは思っていたので、検討させて頂きます。ありがとうございます(^^) (2020年9月14日 3時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年6月9日 20時