たったひとつ〈深紅〉 ３

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出会った頃に戻ったみたいに

一緒に過ごす時間を重ねるほどに



気持ちは大きくなっていって






夜中までかかった撮影のあと



超眠いし、明日も早いから帰らなきゃなのに




疲れてたからなのかな、

会いたくてたまらなくて









『何か、あったの？』






掛けられた言葉と、Aのまっすぐな目に

一瞬で気が緩んだ









抱きしめたとき

振りほどかれなくて、正直めっちゃホッとしたし








『惚れ直した？』


「うん」









……そんな、即答するとか反則でしょ






ずっとそばにいたい

もう、離したくないよ






そう思うのに、俺はやっぱり臆病で







仕事も、まだなんにも成し遂げてないじゃん




今じゃない、今の俺じゃダメだ、なんて

また言い訳を並べて





そんな余裕なんか、どこにもないのに









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『電話、仕事？』


「あ、うーん………永瀬、くん」







めちゃくちゃ、焦った





よりにもよって、何でメンバーなんだよ

いつの間に連絡先交換した？





訳わかんないくらい焦って

嫉妬してる自分にも腹が立って










『………くっそ、』










こんな情けない顔、Aに見せらんねー




何回目かのシャワーの後も、出るに出らんなくて

タオルかぶったまま、ずっと立ち尽くした








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永「はよ〜。あーねむっ」


『廉、』


永「おぉ、何よおはようもなしに」


『………昨日さ、Aに電話した？』


永「は？……あー、したけど？やっぱAってあのAやったんか」


『………』


永「てか何で知ってん？まさか一緒におったとか？」


『……だったら何だよ』


永「別に？ええ子やな、A」


『……お前が、呼び捨てすんな』









子どもか、俺は



自分でも呆れたのに

廉はもっと呆れたみたいで



大袈裟なくらいの溜め息をつかれた









永「お前な。今のAにとってお前がどういうカテゴリーかわかってるか？」


『………』


永「元カレよ、元カレ。ただの。俺にむかついても何にもなれへんからな？自分が動かなどうしようもないで？」


『……わかってるよ』












わかってるよ、そんなの




めちゃめちゃわかってるっての

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