～さいごの我儘きいてください～ (ページ2)

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「あれ、廉は？」

体育の時間が終わって校庭から戻ってきた幼馴染の紫耀にそう声を掛ける。

高校に入ってから体育の授業は男女別だから気づかなかったけど、いつも紫耀と一緒にいる廉が今日はいなかった。

「あー、サボるって言ってた。そろそろ戻って来るんじゃない？」

「そっか」

廉はときどきよく分からない。高校に入って知り合ったんだから当然かもしれないけど。

ちょっとチャラそうだけど成績は良くてそれなりに真面目、のはずなのによくサボるし。

幼馴染の紫耀が仲良くしてるのがきっかけで、高1の5月に入った頃には私たちはもうよく話していた。

もちろん最初の頃は紫耀も含めた3人で話すことが多かったけど。

何で好きになったのかはよく覚えてない。たぶん、これと言ったきっかけみたいなのはなかったはず。

でも、近くにいるようでときどき分からないそんな廉のことをもっと知りたいって思ったんだ。

知らなければ良かったのにね……このときの私に会えたなら、「廉はやめておきな」って言ってあげられる。

……やっぱり、無理。だって今は悲しくても、廉と過ごした日々はそれ以上に幸せだったから。