最終話 ページ46
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思い返してみれば。
一度離してしまったその手を。もう一度とれるタイミングはいくらでもあったのに。
三谷くんの隣で笑うその人が着てる純白のドレスは、三ツ谷くんがデザインしたそうで。本当にお似合いで。
もし。隣に立つのが私だったら。
あなたはどんなデザインを描いてくれたかな。
「来てくれたんだ」
「うん、すごくお似合い」
"結婚おめでとう"
用意していた言葉は、いつまでも気持ちを捨てきれない人を前にするとやっぱり出てこなかった
もしも、あの時は三ツ谷くんの手をとっていたら
もしも、再開したとき気持ちを打ち明けていたなら
もしも、もしも、同じ道を生きていくことを恐れずにいられたなら
もう少し、私たちの未来は変わっていたのかもしれないけれど。そんなことを今更幾度となく重ねても。もうどうにもならないことはわかってる。
きっと、あなたに会えるのはこの日で最後だから。
最後にあなたの記憶に残る私が、少しでもよく見えるように。いつもより粧し込んでしまう自分。
ただ。紛れもなく思うことはひとつだけ。
きっとこの先これ以上好きになれる人を作れなくした貴方が、どうか幸せでいてくれますように
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作者名:Anju | 作成日時:2022年8月13日 17時