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「Aって甘党のくせして俺に甘えるの下手だったね」
私が立ち上がることを諦めたのを悟ったのか、三ツ谷くんの足から力が抜けるのを感じる
自覚のあったことを図星で言われて、「そうだったっけ」と笑って誤魔化すと「そうだったよ」と懐かしそうに笑う三ツ矢くんの目が、ほんの少しだけ、さっきまでとは違うような気がして。
付き合っていた時のような、好きな人を見るような、
"今カノ"さんじゃなくて私を。私だけを見てくれている様な気がして。
どきっと大きくなる心臓が喉の奥までも締め付けて。
あわてて三ツ谷くんから目をそらす
「もしかして、彼女のこと気にして帰ろうとした?」
「うん」
と返事をしてから三ツ谷くんが喋り出す前に、また口を開く
「だって、こんなの彼女さん、嫌がる、はずだよ。彼女さんがどんな性格してるかとか、2人の間のことはわからないけど、少なくとも快くは絶対思わないしそれに」
"それに、これ以上三ツ谷くんといたら、苦しい"
続けてしまいそうになって、急いで口を閉じる
「こんなのって?」
と、三ツ谷くんの返答を飲み込むのに数秒、時間がかかった
"気にしないで"とか"大丈夫だよ"とかそんな言葉はある程度予想していたけどまさかそんなところを突っ込んでくるのか、と
「酔った元カノの面倒見てホテル泊まって、次の日すぐ帰らないでこんな風に映画見てって、」
と戸惑いながら自分の口からはあまりいいたくなかったから"こんなの"と濁した言葉を結局紐解かれる
そっか、と腑に落ちてるんだか落ちてないんだか分からないような返事をした頃三ツ谷くんのカップの中身は既に空になっていた
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作者名:Anju | 作成日時:2022年8月13日 17時