数え切れぬ夢たち (ページ6)

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『男の子としてなんて、私には無理です』

｢やる前から諦めてどうするの｣

『しかも嵐って、あの嵐じゃないですか

彼らはずっと5人で嵐って言い続けてて

その中に女の子が入るなんて

絶対おかしいですよ！！』

｢…じゃあ、条件を出しましょう｣

反論する私に対して

ジュリーさんは落ち着いた声で淡々と進める。

まるで私が反対する事も

こう言い返すだろうと

分かっていたかのように。

｢1年間、私、滝沢くん、マネージャー

1部の衣装スタッフ以外に

あなたが女の子だとバレなかったら

この契約は破棄しましょう。

言い方を変えてしまえばあなたの勝ち。｣

『もしバレたら…どうなるんですか』

｢そのまま女の子、嵐の6人目として

その時が来るまで活動を続けてもらうわ

あなたなら『演じること』ができるでしょう？｣

ニコッ…と笑いながらそう話す。

きっとここまではシナリオ通りなんだ。

そして私がそれに乗っかってしまうのも

シナリオ通り。

｢いい返事をくれると思ったわ。

ありがとう。改めてよろしくね、A｣

『よろしくお願いします。社長』

そう言って差し出された手を取る。

ウィッグ、私服、そして事務所から近い場所の

私の新しいマンションの鍵。

数日で、元あった私のマンションのものは

そこに運び出された。

もともとスカートのヒラヒラ感が

あまり得意ではなかったため

私服も買い足さなくて良さそうだ。

…なんて、夢か現実か分からない狭間で

自分に出来ることを探すために

嵐のライブのブルーレイを見る

カウントダウンはもう

0に近いのだから。