数え切れぬ夢たち (ページ5)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:1,677 hit

･ページ5

あれから3か月前くらい経った。

3年の春学期の試験も終わり

夏休みを迎えようとしている。

でも私の中には

あの日の｢ジャニーさんの願い｣という言葉が

ひっかかって取れることはない。

私は歌うことも踊ることも好きだ。

それでも、いつかあの大舞台に立つ

それを考えると躊躇してしまう。

アイドルになりたいか、と問われたら

答えはNOに近いのかもしれない。

それでも、歌で誰かを笑顔にしたい

その思いは小さい時から変わらない。

話だけ聞いてみるのも、ありかもしれない。

私をスカウトした理由を知れば

納得できるかもしれない。

なんて、少し甘い理由で

番号を打ち込んで、通話を繋いだ。

そしてどんどん話は進み

ジャニーズ事務所の社長室へとたどり着く。

『失礼します』

静かに開けたドアの向こうには3人の人がいて

｢待っていたわ、わざわざありがとう

私は今社長をしているジュリーです。｣

『辻Aです』

｢大丈夫。そんなに緊張しないで。｣

そう優しく声をかけてくれる。

『あの、教えてください。

何故私がスカウトされたのか

私のどこに惹かれて、ジャニーさんの願いって…』

｢12年前＿＿＿＿＿＿＿＿｣

ゆっくりと放たれたその言葉に

強く胸を打たれてしまった。

ジャニーさんは私の可能性を

見つけてくれていたんだと。

『私は、ここにいても本当にいいんですか？』

｢もちろん。だって彼がそう言っていたし、

今でもきっと彼は言う。youしかいないよって。｣

『でも私女の子だし…』

｢もうそこも全て決まっているの。

Aちゃんは、男装してもらって

男の子として嵐でデビューさせるわ。｣