プロローグ ページ1
｢…失礼します｣
扉を開くと、ジャニーさんの匂いがした。
我らが社長であり、パパ的存在の
ジャニー喜多川。
俺たち嵐の20周年を待たずして
その生涯に幕を閉じた彼。
もうそこに彼はいないはずなのに。
｢You、遅すぎるよ｣
なんて、言ってくれているかのように。
あれから約10年の月日が経った。
嵐、30周年を迎えるタイミングで
俺はまた歩き始めた。
｢私も、みんなも、待ってましたよ。｣
そう声をかけるジュリーさんと
その横で笑う滝沢くん。
｢もう一度、嵐として活動させてください｣
そう言って頭を下げる俺。
嵐は5人。1人でも欠けたらそれは嵐ではない。
相葉ちゃんはVS嵐の時間帯を守ってくれた。
翔くんはしやがれの時間帯を守ってくれた。
にのはYouTubeにも手を出して広げてくれた。
松潤は裏で沢山の演出を手伝っていた。
今度は、俺の番。
もう一度俺は、あのステージに立ちたい。
5人で。
｢30周年の節目で嵐は復活する
…そう思っていたわ。
あの人も死ぬ前から、30年の節目で
大きいことをやらかすつもりだったみたいで。｣
｢…えっ…？それって、どういう…｣
｢新メンバーを入れるわ。嵐に。
あの人のメモも残ってるし
入るメンバーも決まってる。｣
｢いや…ちょっとそれは…｣
｢Youたちなら、できるよね？
…そう書いてあるわ。｣
嵐は5人。
それはジャニーさんだって絶対分かってたはず。
最後の最後まで、わからない人だ。
でも、今すぐには受け入れることが出来なくても
この後かけがえの無い大切な仲間になることを
今の俺は、俺らは
まだ知らない。
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作者名：小林凪咲 | 作成日時：2021年8月17日 1時
