Hellofuture (c63) ページ9
HelloHello つづき
＿
俺はこの頑固なひとに片想いをしている。
どうしようもないくらい真面目で、どちらかといえば愛想はなくて、ちゃらちゃらしたひとが嫌いで、目立つのは得意じゃなくて、ひとりでいるのが得意なひと。そう本人は思ってる。
だけど本当は。実は寂しがりながんばり屋で、愛想がないのは気を遣いすぎているからで、意外と周りにひとが集まってくる、そういうひとだと俺にはバレている。
ただ、本人は全く自覚がない。
昔から俺が構いに行くから、若い女性職員に妬まれているのは知っていた。しまいには俺が片想いをしていることがバレて、誠也や大地さんみたいな大物にまで声をかけられるようになってしまい、さらに肩身が狭くなってしまっているらしい。
それでも俺は会いに行く。彼女の立場を理解しているのに、会いたい気持ちが抑えられないから。
｢よう寝とる…｣
無理をして倒れかけた彼女。後輩らしき女の仕事を、断りきれずに請け負っていた。きっと今ままでもこういうことがあったに違いない。
断れないのだろう。自分が妬まれていると思っているから尚更。俺のせいだと分かっていても、どうもしてあげられない。そんな自分に腹が立つ。
(構わへんのが、一番ええんやろうな)
そんなこと、分かってる。
そんなことを考えていると、絞るような声を出して彼女が目を覚ました。
｢葵さん｣
｢西川、…選手｣
｢起きた？具合ど？｣
｢具合…、うん、大丈夫｣
｢よかった｣
｢私、どのくらい寝てたの…？｣
｢一時間くらいやな｣
｢…待たせちゃって、ごめんなさい｣
｢俺が待ちたくて待ってただけやから｣
｢…西川選手は、どうして｣
｢ん？｣
｢どうして私みたいな、目立たない奴に優しくしてくれるの？｣
少し寝惚けた瞳が俺を捉えた。少し哀しみが混じったような視線を、真剣に見つめてしまう。好きだからと言ってしまえたら、どんなに楽だろう。
だけど、言ってしまったら。彼女は離れてしまう気がした。だって受け入れてくれることは、きっとないから。
｢倒れたひとほっとかんやろ普通｣
｢…｣
｢具合良さげなら帰ろや｣
｢…うん、そうする｣
意気地なし、このヘタレ。心の中で呟くおれは、この世で一番情けない男な気がした。
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aoi(プロフ) - りょうさん» りょうさま、こんばんは＊コメントありがとうございます。いつもあたたかいお言葉、本当にうれしいです。これからもそう言ってもらえるおはなしを、書いていけたらなあと思います！ (2019年11月7日 20時) (
レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - 更新ありがとうございます。やっぱりaoiさんの文章大好きです…きゅんきゅんしながら読み返しました。これからも楽しみに更新お待ちしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りょうさん» はじめまして＊こちらこそ、もったいないお言葉ありがとうございます。これからも読みたいと思ってもらえるおはなしを、描いていければなあと思います！コメントありがとうございました＊ (2019年10月23日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - はじめましてaoiさんの野球選手小説大好きで、何回も読みに来てしまっています。また新しいお話を書いてくださるのを楽しみにしています！ (2019年10月23日 16時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます＊気が向いたら、おはなしを思いついたら、書きたいなあとは思っています。はっきりと言えませんが、また遊びにきてくれると嬉しいです＊ (2019年7月30日 22時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年2月18日 23時
