頬に落とす色 (g18) ページ15
＿
ーーー葵！
はっと目を覚ます。少し息苦しくて、背中は嫌な汗で張り付いていた。外はまだ真っ暗で、最悪な夢に起こされたことに小さく溜息を吐いた。
夢の中で呼んだ名前を、暗闇に溶ける程の声で呼んだ。そして、そのままベッドに目を向けると、当の本人は間抜けな顔をして、ぐうぐう寝ている。
｢…あほ面……｣
開幕したことのプレッシャーなのだろうか、最近、葵が泣きながら俺に別れを告げる夢ばかり見る。そんな葵を追いかけるのだけど、彼女はどんどん遠くへ行ってしまって、最後には消えてしまう。
そんな嫌な夢を払拭したくて、もう一度ベッドに横になって、あほ面な彼女を抱きしめる。そのまま目を閉じると、今度は葵が小さく唸った。
｢ん…智之……？｣
｢ごめん、起こした？｣
｢んー…大丈夫。寝れないの？｣
｢いや、寝てたけど変な夢見て起きた｣
｢ふふ、変な夢？どんな？｣
｢……葵が、｣
｢私が？｣
ーーー俺から離れてしまう夢
そう、言葉にすることでさえ、こわいと思ってしまう。俺の中で、彼女の存在はそれ程大きいのだと思い知らされた。
｢葵が100キロくらいに太って、俺にのしかかってくる夢｣
｢えー…何それ？やだあ｣
｢超重たくてさ、それなのに葵は全然退いてくれねえの｣
｢ふふ、智之が潰れちゃう｣
｢やめてくれって言うところで起きた｣
｢変な夢｣
｢ね、ほんと。…変な夢｣
そう笑って、葵を抱きしめる。すると葵は応えるように、俺の背中に手を回して、宥めるように背を撫でた。
｢もう少し寝ようよ｣
｢そうする｣
｢ねえ、智之？｣
｢何？｣
｢私が太っても、夢の中の智之は私のこと好きでいてくれてた？｣
｢…うん、きっと。でも好きとかそれ以前に、重たくって仕方なかった｣
｢太らないように気をつけまーす｣
無邪気な笑顔を抱きしめて、目を閉じる。もう変な夢は見ませんように。次に見る夢は、彼女が飛びっきりの笑顔で、しあわせそうにしている夢がみたい。そう思いながら、ゆっくり目を閉じた。
＿＿
エースさま完投おめでとうなおはなし。
今年、たくさん勝っていてとてもうれしい。g0さんが先頭で切り開いてくの見るのが本当にたのしいです。
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aoi(プロフ) - りょうさん» りょうさま、こんばんは＊コメントありがとうございます。いつもあたたかいお言葉、本当にうれしいです。これからもそう言ってもらえるおはなしを、書いていけたらなあと思います！ (2019年11月7日 20時) (
レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - 更新ありがとうございます。やっぱりaoiさんの文章大好きです…きゅんきゅんしながら読み返しました。これからも楽しみに更新お待ちしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りょうさん» はじめまして＊こちらこそ、もったいないお言葉ありがとうございます。これからも読みたいと思ってもらえるおはなしを、描いていければなあと思います！コメントありがとうございました＊ (2019年10月23日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - はじめましてaoiさんの野球選手小説大好きで、何回も読みに来てしまっています。また新しいお話を書いてくださるのを楽しみにしています！ (2019年10月23日 16時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます＊気が向いたら、おはなしを思いついたら、書きたいなあとは思っています。はっきりと言えませんが、また遊びにきてくれると嬉しいです＊ (2019年7月30日 22時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年2月18日 23時
