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花弁が舞う (c33) ページ14

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「葵ー、ちょっと来てー!」

「ちょっと待ってて!」



夕食を終え、キッチンで洗い物をしていると、リビングから大きな声で私を呼ぶ涼介。さっきまでバラエティ番組を見て、大笑いをしていたのにどうしたのだろう。一緒に観たい番組でも始まったのかな、そんなことを思いながら、急いで洗い物を済ます。

リビングへ行くと、ソファーに座ってにこにこしている。隣に座って、という風に手招きをされた。



「はい、ここで葵に質問です」

「え?」



急に質問?どうしたの?、そんなことを思い、きょとんとしてしまうと、涼介は可笑しそうに、あほ面と笑った。



「僕と葵ちゃんが付き合って、何年目でしょうか?」

「8年目です」

「僕と葵ちゃんが一緒に暮らし始めて、何年目でしょうか?」

「…3年目です。…ねえ、急にどうしたの?」



彼の真意が分からなくて、思わず聞いてしまう。真っ直ぐな濁りのない、好奇心旺盛の瞳が、柔らかく微笑んで私を捉えた。



「うん、ね、これ」



背後に隠していた、何かを取り出す。それを見て、小さく声を出してしまった。え、だって、そんな。そんな素振り、ひとつもなかったじゃない。

震える手に乗せられた、小さな箱。そのまま、涼介が箱を開けてくれる。そこには、シンプルな私好みの、きらきら光る憧れが詰まっていた。



「いつもいつも、支えてくれてありがとう。

調子が悪いときも不機嫌なときも、ずっと変わらず傍にいてくれてありがとう。

葵みたいな良い女は、どこ探しても見つからないと思ってます」



「りょう、すけ…」



「葵ちゃんが…ずっと笑っていられるように、頑張ります。しあわせにします。なので、」




ーーー僕と、結婚してくれませんか?




涼介の声が、少し震えた。緊張からなのか、感極まったのかは分からないけど、聞いたことのない声だった。

僕、なんて畏まって、そうぼんやり思いながら、涙が止まらなかった。言葉なんて出なくて、ただぼんやりと滲む指輪を見つめていた。



「葵?葵ちゃーん?」

「なんで、こんな不意打ちなの…っ」

「え、夜景が見えるレストランの方が良かった?」

「そうじゃ、なくて、」

「……こっちの方が、俺らしいかなって」



下がる目尻に撃ち抜かれて。左薬指にぴったし嵌った指輪に、涙は止まらなくて。よろしくお願いします、と必死で答えると、よっしゃと笑って、全力で抱きしめられた。





_fin

頬に落とす色 (g18)→←涙に欲情 (g0)



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aoi(プロフ) - りょうさん» りょうさま、こんばんは*コメントありがとうございます。いつもあたたかいお言葉、本当にうれしいです。これからもそう言ってもらえるおはなしを、書いていけたらなあと思います! (2019年11月7日 20時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - 更新ありがとうございます。やっぱりaoiさんの文章大好きです…きゅんきゅんしながら読み返しました。これからも楽しみに更新お待ちしてます! (2019年11月7日 1時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りょうさん» はじめまして*こちらこそ、もったいないお言葉ありがとうございます。これからも読みたいと思ってもらえるおはなしを、描いていければなあと思います!コメントありがとうございました* (2019年10月23日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - はじめましてaoiさんの野球選手小説大好きで、何回も読みに来てしまっています。また新しいお話を書いてくださるのを楽しみにしています! (2019年10月23日 16時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます*気が向いたら、おはなしを思いついたら、書きたいなあとは思っています。はっきりと言えませんが、また遊びにきてくれると嬉しいです* (2019年7月30日 22時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年2月18日 23時

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