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私が宿舎の家政婦を辞めてからしばらく経った。
ふとした瞬間に浮かぶのは、ジミンさんの笑顔ばかりだった。
宿舎で皆と話しながら、楽しそうに笑うジミンさんの顔。
キッチンで並んでご飯を作った時、料理ができて嬉しそうに笑う顔。
私に優しく、ふわりと笑いかける顔。
大好きだった。
でも、やっぱり私はジミンさんと付き合うべきではなかった。
私はどんな形であれ、もし熱愛報道が出た場合は別れると決めていた。
だから覚悟していたつもりだった。
でも…
こんなに辛いとは思わなかった。
辛くても耐える自信はあった。
辛い思いには慣れているはずだったから。
一度通じ合った想いを自分から手放すことが、
好きな人の元を自分から離れることが、
こんなにも辛いことだなんて…。
会議室でジミンさんに別れを告げた日。
ジミンさんは事務所が出すコメントの打合せで1人事務所に残り、私は他のメンバー達が待つ宿舎に先に帰って来た。
話を聞いていた皆が私を気遣ってくれた。
NJ「事務所が否定コメントを出す準備をしてるみたいだから、しばらくすれば落ち着くと思うよ」
「…そのことで、皆に話があるの」
私は皆にジミンさんと別れること、宿舎の家政婦を辞めさせて欲しいことを伝えた。
皆最初は反対したけど、私の想いを話すと渋々だったけど納得してくれた。
ただ一人、テヒョンさんを除いては。
TH「ヌナは本当にそれでいいの？後悔しない？」
JN「やめなってテヒョンア。ヌナも悩んで出した答えだよ」
TH「だってお互い好きなままじゃん！それなのに別れるなんて…おかしいよ！絶対おかしい！」
「…確かに、私はジミンさんが好き。きっと、この先も簡単には忘れられないと思う。けど、私といたらジミンさんは皆の前でもファンの前でも、心から笑えなくなっちゃう」
TH「そんなこと…」
私は首を振る。
「私がいることで、ジミンさんは皆に嘘を付かなきゃいけなくなる。そんな状態じゃ、ジミンさんは皆の前で心から笑えない。ジミンさんはそういう人でしょ？だから、私が離れる」
TH「ヌナ…」
「たとえもう二度と笑顔をそばで見ることが出来なくても…ジミンさんが心から笑っていてくれればそれでいい」
私は大丈夫。
皆との、ジミンさんとの思い出があれば、一人でも生きていける。
「ごめんね、みんな」
さようなら、ジミンさん。
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作者名：よぞら | 作成日時：2022年1月27日 14時
