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私はソウルを出ることにした。


ここにいたら、ジミンさんを忘れることが出来ないと思ったから。


街を歩いていると、色んな所でどうしても皆の映像やら写真やらが目に入ってしまうし、どこかで探している自分がいることも自覚して嫌になる。


だから、地元に帰って、まずは物理的に離れて、少しでも会う可能性に縋り付くことがないように、忘れられる環境に身を置くのだ。


そうすれば、いずれきっと忘れられる。


ジミンさんを想う気持ちを。


そう信じて。






出発の日。


空港で搭乗手続きをしていると、職員の人に声をかけられた。


職員「シン・Aさんですよね?ご案内したいことがございますので一緒に来て頂けますか?」


「あ、はい…」


一体何事だろうと思ったけど、とりあえず付いていくことにした。


しばらく歩くとここってVIPルーム的なとこじゃないの?って部屋に通された。


「あの…やっぱり人違いじゃ…私こんな所に通される覚えがないんですが…」


狼狽える私をよそに、職員の人はにこやかに答える。


職員「いえ、大丈夫です。ここで少々お待ち下さい。失礼します」


そう言うと出ていってしまった。


1人取り残される私。


いや、とてつもなく落ち着かないんだけど…。


でも…


すっごい豪華だな!


めちゃくちゃ座り心地が良さそうなソファー、色々な種類のお酒が並べられたミニバー、ローテーブルには高級ブランドのお菓子が置かれている。


だんだん見ているのが楽しくなってきて部屋の中を観察して回る。


こんな世界もあるんだな〜。


何かの間違いで入れただけだから今のうちにじっくり見学させてもらお!



1人テンションが上がって夢中で眺めていたので、ドアが開いたことに気が付かなかった。



???「A」



ん?



今、聞き覚えのある声がしたような…。



まさか…ね。



恐る恐る振り返ってみる。







ドアのところに、ジミンさんが立っていた。

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作者名:よぞら | 作成日時:2022年1月27日 14時

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