【男主】その男、個性:絶頂！！【ヒロアカ】 (ページ30)

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開始直後、早速切島から小型無線で応援要請の連絡が入る。

そりゃそうだ。あの2人は規格外すぎる。

漫画でも強個性として描写されていたし、やっぱり勝てるわけがない。

そう思いながらも階段を静かに降りて、壁に張り付き3人が戦闘している場所を覗く。

常闇の背後から出でる黒い影のようなものが切島を押していた。

切島からの打撃をするする交わす様は俺が想定したよりも、絶望的な状況だった。

対する梅雨ちゃんも先に進もうとタイミングを見計らっているように見える。

どうしよう、早く出て行って応戦しないと行けないのに足がすくんで動けない。

そうこう考えているうちに、梅雨ちゃんの舌による拘束技が決まったと思った瞬間、常闇は黒影を足場にして、一気に距離を詰めてきた。

やばい、切島が倒される。

そう思った時なぜか世界がスローモーションのように見えて、その場と俺の意識が乖離していくような感覚に襲われた。

まるでスクリーンの中を座りながら眺めているみたいに。

あの時、みたいに。

……あの時?

自然と頭に浮かんだ言葉に自分自身が引っかかる。

同時にスクリーンに映る景色が変わった。

『おい、陰キャ。また漫画読んでんのかよ』

『“僕のヒーローアカデミア”？なにこれ』

『今日はお得意の異世界転生じゃないんだあ』

3人の男子生徒が教室の隅で漫画を読んでいた少年から、1冊の漫画を奪い取る。

少年は抵抗するも、体格のいい上級生にはかなわず、されるがままになっている。

そんな光景を見て、クラスの女子たちがクスクスと笑っていた。

『お、これ。こいつにピッタリやん』

『どれどれ？「来世は“個性”が宿ると信じて、屋上からのワンチャンダイブ」？』

『ぷ、来世はこんな陰キャじゃなくてヒーロー目指してワンチャンダイブてか？』

ケラケラと笑い合う彼らに対して、無言のまま拳を握ることしか出来ず涙を流す少年。

それを見た彼らはさらに面白おかしく笑う。

この記憶は、確か。前世の記憶だ。

いじめられていた頃の。
どうして忘れていたんだろうか。

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