【男主】その男、個性:絶頂！！【ヒロアカ】 (ページ28)

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無力ページ28

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スクリーンの中でAコンビ(いずくたち)とDコンビ(かっちゃんたち)が対峙していた。

開始早々、かっちゃんが爆破でいずくに突っ込んで行く。

漫画で見た景色が鮮明に起こることに感動を覚えるが、同時にこれから自分は漫画にない展開をどう乗り越えるのか。その不安で押しつぶされそうになる。

原作通りなら俺たちは常闇&蛙吹(Hコンビ)に当たる。

瀬呂がディフェンサー、切島がアタッカーだとして俺は……個性も使ったことがないわけだし、お荷物になって負ける未来しか見えない。

今更ながら自分の無力さに嫌気が差す。

……寝よう、そうだ。

寝ればいつも解決してるし、今回だってきっとなんとかなるはずだ。

そう思い立てば、こっそり観戦室を離れて人通りの少なそうな廊下に座り込む。膝に顔を埋めればこれでもう誰にも邪魔されない、そう思った時。

「腹いてぇのか？」

突然声をかけられ顔を上げると、そこには切島がいた。

いつの間にいたんだろう。全く気配を感じなかった。

驚いて固まっていると、心配するように顔を覗き込んできた。

「わりぃ、勝手について来て。さっきから顔真っ青だったからよ」

今にも泣き出しそうになっているのを必死に堪えて、言葉を絞り出す。

「……な、なんでもないよ。こっちこそごめん。チームに迷惑はかけないようにするから」

『いざというときに起きて全てを解決してみせるもう1人の体の持ち主じゃなくて、“ダメな方”の俺なんかとチームでごめん。すぐ寝るよ』とそういう意味を込めて。

「迷惑とかねぇし、体調崩してんなら無理すんなよ？」

切島は優しい言葉をかけてくれるが、それが気遣われているようで余計に心に突き刺さった。

「おれ、ちょっと寝たいから1人にしてくれないかな」

顔を突っ伏して拒絶するような俺のその一言によって、何か言いかけていた口を閉じる切島。

少しの間を置いてからゆっくりと立ち上がって、その場を離れていった。

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