帰る場所 (ページ45)

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勘違い【YG】ページ45

ジンヒョンの大声が聞こえてきて気になってリビングに向かう。

ジンヒョンの声がデカいのはいつものことだけど、大抵笑い声だから今の怒気を孕んだ声に嫌な予感がした。

俺がリビングに入って声を掛けるとAさんが飛び出していく。

一瞬しか顔は見えなかったが、泣いているように見えたので咄嗟に追いかけた。

YG「待ってってば」

廊下でAさんの腕を掴んで引き留める。

「ユンギさん…。私はもうここにはいられません」

俺の方を見ないで顔を俯けたままAさんが言う。

YG「どうして…。何があった？」

一先ず落ち着こうと俺の部屋に連れて行く。

座らせてAさんが話すのを待つ。

「ジンさんから昨日のこと聞きました…。皆さんを混乱させてしまいました。すみません」

YG「あいつらが勝手にやったことだよ」

「でも私は、私のことで皆さんが揉めるのは耐えられない」

YG「だから出ていこうとした？それでなんでジンヒョンは怒るの？」

「ジンさんは…」

それからAさんは自分が家政婦としてだけじゃなく、密かにメンタルケアも任されて来ていたこと、テヒョンから気持ちを伝えられたが、それは一時的なもので勘違いだと思っていることをジンヒョンに話したと教えてくれた。

YG「勘違い…か」

それを言われたらキツイよな。

俺はジンヒョンの気持ちを察する。

YG「そもそもAさんは仕事だからって何でそこまでするの？すごく俺らに尽くしてくれてるよね…セジニヒョンのため？」

驚いた顔で俺を見るAさん。

YG「そんな驚かなくても…。見てりゃわかるよ」

「今まで周りに気付かれたことなかったんですが…」

YG「俺達は2人と一緒にいる時間も長かったし、密度も濃かったからな…最近は特に」

「俺達…ってことは他のメンバーにも気付かれてるんですね」

YG「ジンヒョンは気付いてたよ。他はわからないけど…」

大きなため息をついて項垂れるAさん。

「プロ失格ですね。職場で私情が筒抜けなんて」

そう言って自嘲気味に笑う。

YG「…てかさ、Aさんが仕事として接してきたからって、テヒョンの気持ちが勘違いとは限らないよね」

「どうでしょう…」

YG「じゃあそのメンタルケアの仕事がなかったら俺達への接し方ってそんなに変わるの？AさんはAさんでしょ」

なぜか俺はAさんにテヒョンアの気持ちを勘違いだと言ってほしくなくて、必死になっていた。