今だけ【JN】 ページ24
ヌナと買い物に来て帰る直前、女の子達に見つかってしまった。
何とか逃げてきたけど、今俺の目の前ではヌナがしゃがみ込んでいる。
JN「ヌナ、大丈夫？」
俺は手を差し出す。
「…ごめん、走り慣れてなくて」
荒い息を整えながら俺の手を取るヌナ。
その手を掴んで気付く。
手、震えてるじゃん…。
ヌナ…前にサセンに傷付けられたもんね。
追いかけられて怖かったよね。。
俺のせいで…。
思わず顔を歪めてしまった俺を、心配そうに見つめるヌナ。
「ジンさん？」
ヌナの手を握り締めたまま動けない。
こういう時、セジニヒョンだったら何て言ってあげるんだろう。
俺は…。
JN「いや〜焦ったね〜！バレたかと思ったよ！ひゃっはっはっはっ」
いきなり笑い出す俺に一瞬呆気に取られていたが、つられて笑顔になるヌナ。
自然と離れる俺とヌナの手。
「いやあれはもうバレてたよ！てかジンさんなんでVLIVEで着た服着てくるの！そりゃバレるよ！」
JN「やだヌナったら怖〜い」
「ジンさん！」
そう言って少し困った顔をしながらも笑うヌナ。
俺にはこうやって明るく振る舞うことくらいしかできない。
本当は抱きしめて大丈夫だよって言ってあげたいけど…。
ヌナの恋人でもない俺にはそんな資格はない。
ヌナが笑ってくれればそれでいい。
「あ、テヒョンさんに連絡しないと！」
慌ててヌナがスマホで連絡する。
テヒョンは戻りが遅い俺達をすごく心配してたみたい。
簡単に状況を説明し、今から合流するのも難しいのでテヒョンには先に帰ってもらい、俺とヌナはタクシーを拾った。
JN「あ〜…テヒョン、怒ってるだろうなぁ…心配かけたし長男なのにルール最初に破っちゃったし…」
反省する一方で、内心ヌナと2人きりの時間が終わってしまうことを残念に思っている自分の身勝手さに落ち込む。
「…元はと言えば私がテヒョンさんに荷物お願いしちゃったから…。よし！じゃあ長男と長女で一緒に叱られよう！」
そう言って落ち込む俺に優しく笑いかけるヌナ。
ヌナのその笑顔を見て、今、この瞬間だけでいいから、ヌナのこと独り占めしたいと思った。
JN「ごめん、ヌナ。今だけこうさせて…」
そう言ってヌナに寄りかかって手を握る。
こんな言い方ズルいのはわかってる。
わかってるけど…
今だけ。
ヌナは何も言わずに宿舎に着くまでそのままでいてくれた。
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作者名：よぞら* | 作成日時：2021年12月1日 14時
