恋の話。【オリジナル短編集】 (ページ3)

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思わせぶり彼side ページ3

幼馴染みの話
彼目線です
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『涼太、おはよう』
「おう」

朝、玄関を開けると、いつもAがいる
俺の幼馴染み
昔から分かりやすくて、ほっとけなくて、
いつしか、隣にいることが当たり前になっていた

俺は朝、職員室に用があるから少し早めに出なくちゃ行けない
Aは早く行く必要は無いし、電車使う訳でもないから、家を出る時間なんて別に何時でもいいはずなんだけど、いつも同じ時間に登校している

それが、少し嬉しい

「そーやって俺にひっついてるからいつまでも独り身なんだよ」
『涼太だってそうでしょ』

俺が告白される度に

断った

そう言うと、ほっとしたような顔をするのを、俺は知っている

『涼太はさ、彼女作らないの？』
「んー」

この関係を、いつまで続けるつもりなんだろう、俺は
いい加減腹をくくれと、度々思ってはいる
この関係が心地いい。壊したくはない
告げたら、付き合えるかもしれない。Aも、俺のことが好きで、
……って。
臆病なのは、昔から治らなかった

「俺が彼女作ったらお前1人になっちゃうじゃん」
『なにそれ』

そう言ってAは笑った
困ったように笑った

こうやって匂わせてみても、何故だかこいつは相手にしない
他に好きな人がいるのか、俺ははなから、恋愛対象じゃないのか。
恋人を作る気が、さらさらないのか。

「透は？」
『涼太がいるからね』
「なにそれ」

そのまま返されてしまった
こんな一言で、心拍数が上がることを、こいつは知りもしないんだろう
嬉しくて、期待することを、知りもしないんだろう

これが、冗談じゃないって、そう言えたら良いのに

本当に、鈍感だ

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文字数の関係で区切ります。