102．やっと… ページ12
「30秒前！」
タイムキーパーのスタッフの掛け声に俺達全員はっとした。
「ヤバイ。位置付かなきゃ」
イヤモニを耳に嵌める相葉くん。
「ここまで来たら祈るしかねぇ。頼む。倒れんじゃねぇぞ」
松潤は五本あるうちの、紫の目印がついたマイクを確かめながら言う。
「わーかってるって…」
重そうな身体とは裏腹に、軽い返事を返すニノ。
「了解」
俺もしっかりと頷いた。
その直後、智くんが俺とニノの背中をぽんっと叩いて行って位置についた。
振り返った智くんに俺はこくんと頷いてみせた。
…
「どうもありがとうーーー！！」
「ありがとうー！ばいばーい！！」
ラストの曲を歌い終わり、俺達5人はメンステからの階段を登って横一列に並んでいた。
……何とかここまで来れた…
階段の最後の段を登りきった瞬間、ちょっと俺はふらついてしまっていたが、すぐ後ろにいた松潤が支えてくれた。
そのまま、俺達は最後の挨拶のために手を繋ぐ。
客席から「キャーーー！！」と黄色い歓声が上がったが、何のことはない。
今この手を離したら、きっと俺は倒れる。
「最後に聞くぞ！俺らの名前は……俺らの名前は、なーんだ！？せーの！！」
「あらしーー！！」
会場全体から返ってきた、慣れ親しんだ俺達のグループ名に合わせて、金と銀の2種類の銀テープが勢い良く噴射された。
そして俺達のステージは少しずつ下がっていく。
完全にステージが下がりきっても、端の見切れ席からはまだ見える位置であるので、俺達は何事もなかったかのように客席の死角まで移動する。
「はぁ…はぁ…げほごほっ」
「翔くん、大丈夫？」
松潤に支えられて移動していたが、急に身体の力が抜けて、俺は崩れ落ちてしまった。
「ちょっと寝かせられるとこに、早く！」
松潤が戸惑っているスタッフに激を飛ばす。
ステージから降りてきた人間がいきなり倒れたら誰だって引くよな……
支えられながらも、俺はそう自嘲していた。
そういや、ニノは…？
ぼんやりとした視界の中でニノを探す。
「はぁ…はぁ…大丈夫、だーいじょーぶだって。大袈裟な…げほっ」
また軽い感じでスタッフをあしらっていた。
「相葉くん…ニノのこと…」
俺が咳き込んだのを見て水を持ってきてくれた相葉くんに、最後の力を振り絞ってニノのことを頼んだ。
「わかってる。すーぐ無理するんだから。フラフラなくせにね」
真面目な調子でそういう相葉くんに、俺は2人の歴史を感じていた。
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ゆり(プロフ) - もふもふもふもさん» コメントありがとうございます！昔の作品も読み返してくれていたんですね、嬉しすぎます( ；∀；)これからも細く長く続けていけたらと思いますので、よろしくお願いします♪ (2020年12月28日 21時) (
レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふもふも - 更新ありがとうございます（^人^）ゆりさんの作品がお気に入りで更新されるまで昔の作品を読みなおしたりしてました!これからもゆりさんのペースで更新頑張ってください ファイトです*\(^o^)/* (2020年12月28日 15時) (レス) id: feaa44eb2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - あんずさん» あんずさん、コメントありがとうございます！ニノって喋り口調が独特なんで書いてて楽しいんですよね。しんどくて脂汗かきながらも口元は涼しく笑みを浮かべるイメージです！(笑)今後ともよろしくお願いします(* ´ ▽ ` *) (2020年11月15日 22時) (レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - あとちょっとだったのにな、って薄笑いするところが好きすぎて、またコメントしてしまいました… 気付かれたくないのもとっても可愛いです。更新ありがとうございます！ (2020年11月15日 19時) (レス) id: b23ea6b68a (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - あんずさん» あんずさん、コメントありがとうございます〜！全然更新できていない間も、読み返してくれてたなんて嬉しすぎます！細く長く続けられたらと思いますので今後ともよろしくお願いします(* ´ ▽ ` *) (2020年11月8日 18時) (レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆり
| 作成日時：2020年6月4日 12時
