104．急変 ページ14
空港までは車だったし、飛行機までの距離も最短で下ろしてくれたので、何とか俺は自分の足で座席まで辿り着くことが出来た。
「ニノの隣で大丈夫？」
松潤が心配そうに俺に聞いてくる。
「むしろその方が。他のメンバーに風邪移したくないし」
俺はマスクを押し上げて答えた。
「そっか。あ、これ良かったら飛行機の中だけでも使って」
そう言って松潤は冷えピタを渡してくれた。
「助かる。ありがと」
俺は飛行機の座席に沈み込んだ。
…あー、だりぃ…
ライブが終わって、アドレナリンが抜けてきたのか、一気に身体が重くなってきた。
同時に背筋はゾクゾクと寒いのに、目と目の間は妙に熱いという、発熱特有の症状が出てきた。
…クソ…もう、熱出したくねぇよ…
しんどさからか、駄々っ子のような思考になっていた俺は、ちょうど松潤から貰っていた冷えピタを額に貼る。
じんじんと額の熱を吸い取ってくれるような感覚に少しほっとする。
そういえば、ニノはどんな状態だろう。
俺の隣に座り、壁に体重を預けているニノの様子を伺う。
「はぁ……っ…はぁ……」
飛行機が動き出して、エンジン音で掻き消されているが、耳を近付けると荒く、苦しそうな息遣いが聞こえる。
少し長めに垂らした髪の奥に見える頬は明らかに熱を持っていて赤く染まっていた。
…こんなになるまで…なんで隠してたんだよ…
あまり人の事を言えた義理ではないが、立場と責任の狭間でニノが苦しい思いをしていたと思うと胸がきゅっとなる。
冷えピタを貼ってあげた方が楽になりそうだが、寝ているのを起こすのも悪いし、俺は完全に手をこまねいていた。
「はぁ…っ…うぅっ…！」
その時、突然ニノが苦しそうな呻き声を上げ、閉じていた目を更にぎゅっと閉じた。
「ニノ…？どした？大丈夫？」
俺はニノの腕の辺りをトントンと叩き、声をかける。
「うぅっ…っ…げほっ、げほっ！」
辛そうな表情から今度は咳き込み出して赤い頬が更に真っ赤になり、俺は焦る。
「ニノ！？ニノ？」
己も大概の熱で思考が正常でないため、このままニノがどうにかなってしまうんじゃないかと心臓がドキドキ鼓動を速める。
「どした！？翔くん」
その時、背後から知った声が聞こえ、俺は心の底から安堵した。
「松潤…ニノが急に苦しみ出して…けほっ」
身体が動かなくて何も出来ずに佇む俺の横で、松潤はニノに声をかけた。
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ゆり(プロフ) - もふもふもふもさん» コメントありがとうございます！昔の作品も読み返してくれていたんですね、嬉しすぎます( ；∀；)これからも細く長く続けていけたらと思いますので、よろしくお願いします♪ (2020年12月28日 21時) (
レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふもふも - 更新ありがとうございます（^人^）ゆりさんの作品がお気に入りで更新されるまで昔の作品を読みなおしたりしてました!これからもゆりさんのペースで更新頑張ってください ファイトです*\(^o^)/* (2020年12月28日 15時) (レス) id: feaa44eb2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - あんずさん» あんずさん、コメントありがとうございます！ニノって喋り口調が独特なんで書いてて楽しいんですよね。しんどくて脂汗かきながらも口元は涼しく笑みを浮かべるイメージです！(笑)今後ともよろしくお願いします(* ´ ▽ ` *) (2020年11月15日 22時) (レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - あとちょっとだったのにな、って薄笑いするところが好きすぎて、またコメントしてしまいました… 気付かれたくないのもとっても可愛いです。更新ありがとうございます！ (2020年11月15日 19時) (レス) id: b23ea6b68a (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - あんずさん» あんずさん、コメントありがとうございます〜！全然更新できていない間も、読み返してくれてたなんて嬉しすぎます！細く長く続けられたらと思いますので今後ともよろしくお願いします(* ´ ▽ ` *) (2020年11月8日 18時) (レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆり
| 作成日時：2020年6月4日 12時
