63．優しいリズム ページ3
「ほら、翔ちゃん。いつまでも布団被ってたら苦しいでしょ」
相葉くんは俺が布団を掴む力が弱くなったのを見計らって、布団を少し避けて俺の顔を覗き込む。
「うん…」
俺の方も少しだけ布団から顔を出した。
普段ならあんなこと絶対に言わないのに、やっぱ俺、風邪で相当弱ってんだな…
俺はぼーっと天井を見つめる。
「顔赤いし、熱いでしょ？タオル気持ちいいよ」
そう言いながら、相葉くんはタオルをぎゅっと絞って額に乗せてくれた。
「ん…ありがと…」
額から熱が冷たいタオルに奪われて、頭痛も少し和らいだ気がした。
「翔ちゃんの弱ってるとこ、久々に見たわ」
冗談めかして相葉くんは笑う。
「〜〜言うなよそれを…けほっ」
恥ずかしくなってきて、俺はじと目になる。
「でも…強がってないでさ、その方が俺は好きだよ。翔ちゃん♪」
まるで語尾にハートマークが付きそうなテンションで俺の頬をつんつん突く。
「もう…風邪治ったら覚えとけよぉ」
相葉くんが突ついてきた指を俺は握り返した。
「そうそうその意気。病は気からって言うでしょ？」
けらけら笑っていたかと思えば、優しい微笑みに変わる。
相葉くん…
俺を元気付けようとわざとあんなこと言って…
「ん…けほっ。ほんと、何から何までありがと…感謝してる」
掠れた声で俺がそう言うと、相葉くんは少し面食らったような表情になり、
「いいの、そんなこと。さ、もう寝よ？」
そのまま優しく俺の胸の辺りをとんとんとしてくれた。
俺はそのリズムに次第にリラックスしていき、気が付いたら眠りに落ちていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 532人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆり(プロフ) - 殿堂入りありがとうございます！ちょっと今多忙のため書けていないのですが、また書けるような状況になればマイペースでやっていきます。 (2023年1月14日 23時) (
レス) id: b873b779d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 有々さん» 初めまして。コメントありがとうございます！お話考えるの楽しいですよね(*´▽｀*)いやいや、つたない文章力ですよ；；でもそう言って貰えて嬉しいです！これからも頑張りますね♪ (2020年6月5日 20時) (レス) id: 6bf700fe74 (このIDを非表示/違反報告)
有々(プロフ) - ゆりさまお初めまして 楽しんで読んでます 私も話考えてたりしますがゆりさまの文章力流石です これからも密かに応援してますね (2020年6月5日 19時) (レス) id: f803019846 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - つきんこさん» お待たせしてすみませんでした！やっと更新できました〜( ；∀；) (2020年1月11日 23時) (レス) id: ebcf7c4801 (このIDを非表示/違反報告)
つきんこ(プロフ) - 楽しみにしてます！！ (2020年1月6日 18時) (レス) id: c1d22a47af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆり
| 作成日時：2019年9月7日 23時
