38．ニノの呟き ページ8
「苦しくない？」
そう言ってマスクを少し掴むと、鼻の部分まで押し上げてくれた。
…あ…
マスク越しにニノの指がちょうど俺の鼻に触れる。
やべっ…！
と思った時にはもう遅かった。
風邪のせいで敏感になっている俺の鼻には充分すぎるくらいの刺激だった。
「ふぁ…は……は……はっ！」
俺は思いっきり息を引き付け、目を閉じる。
「へっくしっ！！！」
マスクをしていたとは言え、辛うじて顔だけソファの背凭れ側に反らすことが出来た自分を誉めたい。
「うわ、ごめん！刺激しちゃった？」
俺が思いっきりくしゃみをしたもんだから焦るニノ。
「いや…ずっと鼻ムズムズしてたから…はっ…くしゅんっ！！」
言ってるそばからまたくしゃみ。
「はい。使う？」
俺がマスク越しにまだひくひくする鼻を抑えていると、ニノはテーブルの上に置いてあったティッシュを取ってくれた。
「あ、悪い…グスッ」
俺はありがたく受け取って少し身体を起こすと鼻をかむ。
止めどなく流れてくる鼻水にうんざりする。
「う…」
…何か、頭ぐらぐらしてきた…
連続して鼻をかんだせいか、くらくらしてきてしまった。
また熱上がってきてんのかな…
嫌な予感を感じながら、俺は身体を起こしていられなくなってソファに倒れ込んだ。
「結構キツそうだね…」
ソファに沈み込んだ俺を見て、ニノが表情を曇らす。
「はぁっ…大丈夫……はぁっ…何とか…」
息も苦しくなってきて、俺は目を閉じた。
顔がものすごい熱く感じる。
…本番までにあとちょっとだけでもましになってくれ…
「げほっ、ごほっ！」
咳をする度に頭痛で意識が飛びかける。
「…」
その時。
俺はニノの手の平の感触を額に感じた。
「翔ちゃんみたいに上手くいかないかもしれないけど…」
そう呟いたのを、俺は意識が遠くなる中で聞いた気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 440人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆり(プロフ) - わかぶーさん» おぉ、そうでしたか！無事合格おめでとうございました♪今も息抜きとして読んでもらえて嬉しいです。頑張りますね(*´∇｀*) (2019年7月21日 21時) (
レス) id: ebcf7c4801 (このIDを非表示/違反報告)
わかぶー - ゆりさん» 受験の合間に当時読んで無事に志望大学に受かり笑 そして今は勉強の合間に読んでます、最近更新多くて嬉しいです！ (2019年7月21日 1時) (レス) id: 63ec3d7629 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - chocomocchiさん» コメントありがとうございます♪おぉ、中学生から！そうそう、更新にムラがありすぎるので、読み手さんの環境が変わっていったりすることが多いんですよー！でもまた戻ってきてくれて嬉しいです(*´∇｀*)お、ニノですか！いい流れですね今(笑)これからもよろしくです！ (2019年7月20日 23時) (レス) id: ebcf7c4801 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 翔菜さん» そうなのねー！私がお話書き始めたのがちょうど2011年なので何とその頃から！嬉しいです♪そうそう、最近嵐では少なくなってきてるのかなーと思ったりします。もっと嵐に風邪引かせていきましょ(笑)これからもよろしくです(*´∇｀*) (2019年7月20日 23時) (レス) id: ebcf7c4801 (このIDを非表示/違反報告)
chocomocchi(プロフ) - 更新ありがとうございます！中学生の頃からお世話になっていました。結局戻ってきてしまうのはゆりさんの作品です。本当に大好き。今回鼻風邪系多くて我得です…(*´`*)松本担ですがなぜか性癖に刺さるのはにのちゃんなのでこれからが楽しみで仕方ないです！！ (2019年7月19日 14時) (レス) id: ef0e6544ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆり
| 作成日時：2019年5月1日 1時
