1、ピアノ少女 ページ1
澤村大地side
※仮入部(4月)なのに谷地さんとノヤさんがいます。
バコンｯ！
ランニングを終え、体育館に戻ってきた俺たちバレー部は、「暑〜っ。」「溶ける〜。」と言いながら、水分補給をしていた時だ。
鈍い音がして、額がズキズキ痛んだ。
びっくりした俺は、思わず持っていた水筒を落としてしまった。
「痛っ...。」
額に手を当てて呟くと、後ろからブフッと吹き出すような笑い声が聞こえた。
真っ先に笑い出した日向に釣られたとか、次々とみんな笑いだす。
「らしくないですねぇ澤村さん。」
月島にまでクスクスと笑われ、俺は苦笑いするしかなかった。
「ギャーｯ！きゅっ、きゅ救急車あっ！」
涙目で叫んだのは、心配性の谷地さんだ。
「仁花ちゃん落ち着いて。」
清水が、謎に走り出そうとする谷地さんの手を掴み引き止める。
「ひゃあっ！すみません！大丈夫ですか？」
走ってきたのは女子バレー部の2年生だ。
「サーブミスにも程があるだろ。レギュラーにはまだまだ届かなさそうだな！」
「だ、だって難しいから。」
同じクラスの西谷にからかわれ、女の子は少し恥ずかしそうにしている。
「すみません、怪我はないですか？」
「大丈夫なので、練習に戻ってください。」
そっと背中を押すと、女の子はサーブ練習に戻っていった。
.
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「大地〜っ！」
塾の帰り、肉まんをかじりながら歩いていると後ろから背中を叩かれた。犯人はスガだ。
「わっ！なんだ？」
「お疲れっ！古文難しかったな。それにしても大地にボールが当たるなんて珍しいな。今日はボーッとして元気なかったし、具合悪い？」
そんなことはない。正直に悩み事を話すと、スガは大声を出した。
「はぁ？教頭のカツラが飛ぶ夢？」
「その夢のせいで夜眠れなくて、寝不足だったんだ。」
「それは日向と影山が悪いな。お、噂をすれば。」
スガの指差す方を見ると、日向が女の子と対パス(対人)をしている。
「あっ、日向くんごめん！」
「ぼへぇっ！」
女の子が打ったボールが日向の顔に当たり、日向は変な声を出して、涙目で顔を押さえる。
なかなかパスが続かない二人を見ていると、中学生の頃を思い出した。
「俺にもあったなぁ。あんなとき。」
「あったあった〜。俺が中学生の頃なんて、オーバーが後ろに飛んでいってたべ。」
「俺も中学生の頃、よくサーブレシーブ空ぶってた。」
初心者の頃を思いだし、スガと笑っていると突然、怒鳴り声が聞こえた。
「何をしているのっ！」
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作者名：ニセーノモ先輩 (今年から先輩！) | 作者ホームページ：http://.
作成日時：2022年6月27日 18時
