First Love (ページ4)

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信じられない気持ちで、その人を見上げる。

紫耀…？

名前が一緒なだけ？

でも…７年前の紫耀と、今目の前に立っている男性が重なる。

紫耀
…。

『…。』

お互いに、ただ無言で見つめ合う。

その空間に2人しかいない錯覚にかられるほどに

目の前の彼から目が離せなかった。

紫耀
あ、…

紫耀と呼ばれたその人が、口を開いた。

廉
紫耀！トイレ長すぎやろ！

紫耀
！

何かを言おうとした彼の名前を呼んだのはさっきと同じ永瀬くんだった。

廉
何してんの？

そう言いながらちらっと私の方を見る綺麗な顔。

『…あ、えっと…。』

紫耀
いや、なんでもない。ごめん、行こう。

俯いた顔を上げた時には、彼らはもう私の横を通り過ぎていた。

…そんなわけ、ないか。

ただの勘違い

そう思ったら肩の力が抜けた。

美琴
ちょっとA！！ぶつかったの紫耀くんだよね！？

『分かんないけど、永瀬って人にそう呼ばれてたからそうだと思う』

美琴
いいなぁ！！私が突き飛ばされたかった！！

…清々しいくらい正直だ。

『もう、私は全然良くなかったよ』

美琴
紫耀くんに抱きとめられるなんてそんな夢みたいなことないからね！？

『興奮しすぎ』

美琴
そりゃするでしょうよ！紫耀くんだよ？あの平野紫耀だよ！？

『え』

美琴
今をときめくキンプリのセンター平野紫耀に抱きとめられるなんてA、一生分の運使っちゃったね！

え…

平野

紫耀…？

７年前の、幼馴染の顔がふっと浮かぶ。

うそ…

『平野紫耀…？』

じゃあさっきのあの人は、

しょう、と呼ばれたあの人は、

あの紫耀？

美琴
A？どうしたの？

美琴の声にハッとする。

『ねぇ、平野紫耀ってこう書く？』

自分の手のひらに文字を書く。

美琴
え？うん、そうだよ、珍しい字だよね。

『何歳？』

美琴
私らと同い年。

『出身は！？』

美琴
な、名古屋…

そうだ。

信じられないけど、きっとあの紫耀だ…。

美琴
どうしたの、そんな急に興味持ち始めて…

『…今まで、私が話してた人』

美琴
？

『私の幼馴染の名前ね…』

少しずつ、

美琴
あぁ、７年会ってないっていう例の？

少しずつ。

『…名前、平野紫耀っていうんだ…』

運命が動き出した。