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『それと…これ』
盛山さんと一緒に選んだ時計。
『…どういったものが欲しいかわからなくて、』
河井「開けてええ？」
『はい』
ドキドキしながら箱を開ける様子を見守る。
河井「うっわ、めっちゃええやんこれ…！」
『あーよかったー』
河井「明日からつけよ」
『それ…』
私が持ってるものとペアなんですよ、
そう言おうと思うのに、なかなか言葉が出てこない。
引かれやしないか。
ええ年した大人がって、思われないか。
盛山さんはああ言ってくれてたけど、ゆずるくんは違うかもしれない。
個人差があるんだからそれはしょうがない。
でも一度考えだしたら、やっぱり言えなかった。
『盛山さんが一緒の買うって聞かなくて、全力で止めました』
河井「あ、あの時か！盛山と二人で飯とか珍しいなー思っててん」
『あの後結局ﾘﾘｰさん来れなくて』
河井「あんなけ来たがってたのにな」
『ほんまそれですよ〜』
河井「……どう、似合う？」
『明日つけるって言ってませんでした？』
河井「いや、待ちきれんくて」
似合ってるに決まってるし、
なんならこれつけてるゆずるくんが見たいために買ったようなもんやし。
『なんでも似合いはるんで大丈夫ですよ』
河井「………なんか思ってた返答と違ったわ」
『ふふ、どう言われると思ってたんですか』
河井「なんかもっと、こう…目キラキラさせて、かっこいいです！とか…？」
『えー、そんなん言うキャラに見えます？』
河井「見えへん」
『………即答』
河井「拗ねへんの」
楽しそうに、わしゃわしゃと頭を撫でられる。
………私は犬かなにかですか。
河井「ほんま、可愛いな」
『もう可愛い可愛い連呼しないでください！』
河井「なんで？」
『なんでも！！』
河井「えー」
『可愛い禁止！！！』
河井「………まあ、ええけど」
…あれ？
案外すんなり納得したな…
河井「じゃあ、好きやで」
『は！？』
河井「せやから好きやって言ってんねん」
『き、急になんですか！？』
河井「可愛いはあかんって言われたから、別の言葉で愛情表現してんねん」
だめだ。勝てる気がしない。
ああ言えばこう言う。
『………こんな慌てふためいてる女の子見て笑うなんて、性格悪いですね』
河井「ははっ、A限定やから」
『なっ、ば、はあ！？』
河井「言葉になってへんで」
これが大人の余裕というやつか…！！
・・・
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作者名：KaZu | 作成日時：2022年1月4日 23時
