可愛がられるあの子は劇場スタッフ。② (ページ32)

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河井「ん？安藤…？ああ、安藤ちゃんね」

『そうなんです。私の教育係をしてくださってるんですけど、どう言う方なのかなーって』

少し眉間に皺を寄せて、「うーん」と唸る。

河井「別に普通の子やけどなあ。」

『あ、そうなんですね』

河井「なんで？なんかあった？」

『あー、や、そういうわけじゃないんですけど、』

これは怪しいか。

なにか付け足したほうが良いかも…

『私に教えてくださってる時とかも、芸人さんからずっと話しかけられていたので、人気ある方なんだなあって思いまして』

嘘ではない。
たしかにあの人は色んな人から声をかけられていた。

河井「あーまあ、そうやなあ。」

『………すごい、可愛らしいですし』

河井「たしかに可愛らしい子やな」

『そうですよね』

河井「まあ、Aのが可愛いけど」

『は！？』

河井「ほらそういうとこ」

さらりとそういうことを言うのは反則だと思う。

多分私の顔は茹蛸のように真っ赤になっている。

河井「安藤ちゃんも可愛いけど、やっぱ俺が可愛い思うんはAやなー」

『も、もういいです！！』

河井「え？もっと？」

『違います！！！』

豪快に笑うゆずるくんを睨む。

『もう！笑いすぎです！！そんな人にはプレゼントあげませんから！！』

河井「え？」

『あっ、』

いやいやいや！！！！
ほんまはこの後ケーキ食べて、おめでとうございますーってなってからプレゼント渡す予定やったのに！！

びっくりするかなーって思って、誕生日ということには触れてこなかったのに！！！！

『あ、えっと、忘れてください！！！』

河井「いや無理やろ！」

『なにも聞かなかった！そう！！ゆずるくんはもう歳で耳が悪くてなにも聞こえなかった！！』

河井「急に喧嘩売ってくるやん」

『…そういうことにしておいてください』

河井「嫌」

『……じゃあ、その…ケーキでも食べますか？』

河井「えっ、そんなんあった？」

『冷蔵庫の奥底に隠してました』

冷蔵庫の中のビールやらを取り出すと奥にケーキの箱。

河井「……ほんまはさー、Aが一切誕生日の話とかしてこやんから、忘れてんねやろなーって思っててん」

『そんなわけないじゃないですか』

河井「えー、ほんまに嬉しいわ！！」

終始笑顔だからほんとに喜んでくれてるんだろうな。

見てるこっち迄笑顔になってしまう。

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