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ﾘﾘｰ「A−帰るぞー」
『あ、はーい！……って、盛山さんはいらっしゃらないんですか…？』
ﾘﾘｰ「なんか急用って言ってたわ。俺だけじゃ不満なん？」
『そういうわけじゃないですよ！』
ﾘﾘｰさんと二人って珍しいよなあ…。
ﾘﾘｰ「そういえばAって、前の仕事なにしてたん？」
『あーまあ、普通の会社員でしたよ？』
ﾘﾘｰ「ほら、ちゃんと働いていたのに、なんで転職したんやろなって」
『んーそうですねー、私が以前勤めていた会社、めちゃくちゃブラックな会社で…』
ﾘﾘｰ「ほんまにあんねんなあ」
『そうなんです。…残業も多いし、休日出勤もなんでもありで、ようやく家に帰れても家で仕事持ち帰ってやって。………でも、私、学歴もたいして良くないですし、ようやく決まった仕事がなくなったらどうしたらいいんだろうって不安でずっとやめられなくて。理不尽に怒られるのも当たり前な職場だったので、そのうち怒られることにも慣れてしまって。ほんとあの頃はロボットみたいでした』
楽しくない話を聞かせてしまったなあ…。
へらっと笑ってごまかすけど、ﾘﾘｰさんの顔は真剣そのものだった。
ﾘﾘｰ「あー、なんか引っかかってたもん原因わかったわ。」
『なんか悩み事ですか？』
ﾘﾘｰ「最近Aがさ、何言われてもへらへら〜ってしてて、さっきゆず兄に怒られてた時も、いつもやったらシュンってしたり逆に言い返したりしてんのに、素直に謝ってて。なんか感情どこ行ったんかなーって思っててん」
『なんですかそれー。』
ははっと笑うと、ﾘﾘｰさんの眉間にしわがよる。
ﾘﾘｰ「ほらそれ。その顔。俺嫌いやわ」
『え、ﾘﾘｰさん…？』
ﾘﾘｰ「笑えてへんねん。笑ってるつもりかもしらんけど。」
『へ…？』
ﾘﾘｰ「最近いろんなことあったから、しんどくなってるのはわかる。Aの性格からして、誰かに相談するのもめちゃくちゃ悩んだやろうし。……でもな、前の会社とは違う。今Aの周りには、助けてあげたいって思ってる人は沢山おるんやで」
『………』
ﾘﾘｰ「……自分が我慢すればって、そう思って最近ふさぎ込みがちなんかもしれんけど、そんなん一人で背負いこむとかしんどいだけやろ？………もっと周りを頼れ」
『……………ありがとうございます…』
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作者名：KaZu | 作成日時：2021年4月26日 23時
