022. ページ22
・・・
『ちょっとお手洗いに…』
立ち上がろうとするとガシリと腕を掴まれてまた座らされた。
「そうやって逃げようとしないでよ」
『いや、ほんとにお手洗いに行きたいんですけど』
しつこいなーこの人。
『あの、ほんといい加減に…』
河井「なにしてんの」
「え、」
私と相手の間に座った河井さんに、思わず相手が私の手を離した。
河井「お前はAの腕掴んでなにしてんのって聞いてんねんけど？」
「あ、いや…」
河井「みんな楽しそうにしてるし、この空気壊したないから大事にはせんけど、誘う女の子は考えたほうがええで。」
「……は、はい…」
河井「わかったら別のとこ行って」
そう言われてどこか別の席へと移動していった背中を見て、ほっとする。
『ありがとうございます…しつこくて困ってたんですよねー』
へらっと笑うと、まだ眉間に皺を寄せた河井さんがそこにいた。
河井「お前な、隣に水田もおんねんから、誰かに助け求めろ」
『いや、だって、楽しそうに話されていたので…』
河井「じゃあ、俺とか賢ちゃんとか、頼りないけど稲田もおるやろ」
『稲田さんに冷たくないですか？』
河井「今そんな話してへんやろ」
『……はい。ごめんなさい…』
河井「ま、なんもなくて良かったわ」
ニカッと笑う笑顔が眩しい…。
河井「あ、せや、明日暇やろ」
『それは失礼ですね。………暇ですけど。』
河井「ほんなら夢の国行くで！」
『はい？なにそんな急に…』
河井「まあ、Aはどうせ暇やろ思ってたから行くこと決定してて」
『勝手に予定決まってる…』
河井「稲田と賢ちゃんと水田も行くから」
『え！？そんな豪華メンバーに私入って大丈夫ですか？』
河井「おう」
……あ、これ、この前、また連絡するって言ってたことか。
あの時から予定決まってたんか。
河井「たまたま休み被ったし、Aは大阪帰るし、どっか遊びに行こうぜーってなってん」
『え、めちゃくちゃ嬉しいです！』
河井「集合時間はまた後で連絡するわ」
『はい！』
河井「寝坊すんなよー」
『ぜっったいしません！！』
夢の国は嬉しすぎる！！！！
しかも大好きな人達と一緒に行けるなんて…。
『あー、もう今日は寝れないですね！』
河井「楽しみで？」
『はい！』
河井「………その顔…あんませんといて…」
『嬉しすぎて…！』
河井「……俺の心臓もたん…」
『病気ですか？』
河井「…ちょっと黙って」
・・・
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作者名：KaZu | 作成日時：2021年4月26日 23時
