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とまあ、この一か月の間に良いことがたくさんあったけど、変わらないこともあった。
例えば――
JK「……すみません、ジミニヒョン。」
ジョングクが恐る恐るといった感じで僕に差し出した模試の結果。
それは、前回とあまり変わらない結果だった。
JK「頑張って解いたんですけど、駄目でした。」
今にも悔しさで泣いてしまいそうな彼を僕は恐る恐る抱きしめた。
彼の身体は温かいのにプルプルと震えていた。
僕は彼の震えが止まるように優しくゆっくり背中を擦ってみる。
JM「よしよし、あまり落ち込まないで。」
JK「でもヒョンにいっぱい教えてもらったのに……」
涙声の彼を何とか慰めたくて、僕は思いつく限りの優しい言葉を投げかけてみるけれど、思い詰めているのかジョングクにはイマイチ届いていないようだった。
僕の言葉が彼には負担に感じているのかもしれない。
彼は僕の抱擁から抜け出すと、真剣な顔で「一つ提案しても良いですか?」と言った。
JM「提案?」
なんだよ、提案って。
僕が首を傾げると、ジョングクは少し言い辛そうに唇を一文字に引き結んだ後、恐る恐るといった様子で答える。
JK「俺がもっと良い点数を取るためには、モチベーションになるものが必要だと思って……」
JM「ああ、そっか。確かにそれは大切かもしれない。」
物事には必ずそれを行う動機や意欲がないといけない。
勉強のような努力が必要なものとなると、モチベーションがあるかないかで自身の勉強への姿勢や精神状態が大きく変わってくる。
そう思った僕はジョングクの提案に賛成した。
JM「ジョングクのモチベーションになりそうなこと?」
今まで仕事にかまけて情報収集を怠っていた僕は今時の高校生が欲しがりそうなものや、食べたいものなど、最近のトレンドにはめっぽう疎かった。
ジョングクにとってモチベーションになりそうなものが思い浮かばず、少し焦る。
JM「ごめんね、僕最近の高校生の流行りとかわかんなくて……」
JK「大丈夫です。実はもう、決めてるんです。」
ジョングクはそう言って、ニッコリと笑った。
JM「それは?」
僕が問うと、ジョングクは少し照れくさそうに頬を染めた。
もしかしたらとんでもなく高いブランドのバッグや、財布かも知れない。
JK「ジミニヒョン、俺がもしセンターでクラス一位になったら一緒に遊園地に行ってください!」
僕が思うよりずっと可愛い提案だ。
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作者名:雛 | 作成日時:2021年9月25日 22時